<2855>「灰性と見つめる水」

 はだかになった肌のまわりへ、

 まだお前はつく、

 お前は生える、、

 生えたら生えただけ、

 その生まれたままの匂いを発していたらいい、、

 この無感に伴う揺れと、

 あなたの仕草のなかに、、

 私は、

 戻ってはいけない場所、

 戻りたい場所を見る、、

 あたしは生まれることにする、

 そういう言葉を前にしたとき、、

 なんともいえず、にがく、

 うれしくもなく、

 かなしくもなく、、

 ただただ汗をかくのは何故だろう、、

 

 お前がまだ人間のはじめに、、

 わたしをうつして、、

 そこから、

 これをいくつもの声に分けていく、、

 いくつものはだの段階に、

 まずあたしはあたりまえに分かれていく、、

 分かれたものから出る声、、

 あなたの声のなかの幾分かが、、

 まったく水になってくる、、

 水は垂れてくる、、

 しずかな呼吸音すら、

 水を見つめている、、

 あたしは這っていく、、

 こぼれるものを求めて、

 その先に、くらい、、

 わたしとあなたの 語り部のない、、

 くらいホールが、あって、、

 そこに声を投げて、

 何もかえってこないから、

 調子に乗って、投げて、投げて、、

 そうしてあなたとあたしとの、

 色が徐々に失われてくる、、

 そうか、

 そういうことだったかと、

 掴んだときにはもうすっかり灰色で、、

 

 からだのなかにながれる水の音も、

 その灰性を、

 ちらと横目で見留めたには違いない、、

 しかし、見留めたことと、

 おのが仕事とは違うものだ、、

 あなたはまたこのそらにまっすぐ浮かんでいく、、

 あなたの灰性は、

 いっかいこの空の青さであらわれたのだろうか、、

 あたしは にがい液をおもいだし、、

 ベンチに、

 ひとり深く沈み込む、、

 あなたのなかにまた、、

 かえす表情がなくなる・・・