2015-11-01から1ヶ月間の記事一覧

大きな壺のなかに、渦が巻いている。円を描いた中心に、球状の物体をポトリと落としてみる。 渦に、何の変化も起きたようには思われない。ただ、しばらく見ていると、心なしか渦巻く速度が少しだけ上がったように思われてくる。 球状の物体は何処へ行ったの…

電車内にて

「・・・なるほど」 遊びそのものの存在へと再び戻っていくことを目標に据えていたところへ、過去の経験が何がしかの手がかりをもたらしてくれたような気になっていた。 人が遊びを持ってくる主人であるのではなく、人が集まることによって自然そこに遊びが…

キャンプ場にて

「じゃ、お金払ってくるから、ちょっとここで待ってて」 言い残すと親は足早に、受付のあるロッジへと向かっていった。 ぽつんと開けた広場のような所に取り残された私は、同じような年頃の子どもたちが集まって、近くでバレーボールをやっているのをそこに…

言いたくて言いたくてしょうがなかったんだよキミぃ~

「こんなこと、言いたかないんだけどさあ・・・」 と語るその人は、やけに嬉しそうな顔をして、本当は言いたくて仕方がないのを隠しきれないでいた。 本当に言いたかなくて、怒りをただ伝えたいだけなのだったとしたら、事実だけをババっと指摘して2、3秒…

こんなに良い1日があるのだろうか

こんなに良い1日があるのだろうか。暑くもなければ寒くもない。時折吹く風が、歩いていて上昇しかかった体温を、絶妙なタイミングで冷ましていく。 ゆったりとした呼吸のリズムが、巡りの良好を示している。鼻を媒介として、つま先まで通った空気が、再びス…

ただ恥を忘れただけ

「ひとりで思い出し笑いをしながら歩いている人って不気味よねえ・・・」 「あはは、そうですねえ・・・」 本当はいつも思い出し笑いをしながら歩いているけどな。そうですねえとか言っちゃったよと、さっきの会話を思い出し、笑いながら帰り道を歩いていた…

やわらかさ

よく、ものの例えで、 「歳を取って再び赤ん坊へと戻っていく」 なんてことが言われる。次第に身体が動かなくなる、髪も綺麗に抜け落ちていくなど、なるほど確かに赤ん坊に似た特徴を取り戻していくということはあるのだなと思わされる。 ただ、やはり決定的…

言い訳のために分別をつけだす

「何か新しいジャンル、作者の本に手を伸ばし始めたいな」 と思う時期がある。そういったとき、新しいジャンルや作者は一体どういう基準の下に選ばれているのか。それは、 「なんとなく」 という基準の下にだ。 そう言うと、何も考えずに適当に選んでいるか…

突然関係に入れられる、あの感じ

これだけ拒絶反応が出てしまうのだから、おそらく根底にあるのは嫌悪だろうと思っていたのだが、後になってよくよく好悪について考えてみたら、いやはやそれは、 「好」 の方であったことを確認することが多いのだ。 では、あの拒絶は何だろう。それは他でも…

知識というより皮膚感覚

「女性を知らないと、気が使えるようになってこない」 という話を見聞きして、もちろん例外はあるのだろうけれど、私に限って言えばあまりにもよく当てはまることだったので、ついつい何かと書いてみたくなった。 以前、『他人を心配するという機能が、スト…

無意識だから

記憶を喚起するときなど、意識とか判断とかいったものが随分邪魔をしているような感じがする。本当はもう実体を掴めているのに、意識だとか判断だとかがそこへわざわざ出張ってきて、 「あれって何だっけ?」 とやることによって、却って思いだすのが遅くな…

「無駄をやるのが大事」とはどういうことか

「無駄なことをするのが大事」 と言うが、それは何故か。そもそも無駄なこととは何か。 人生に意味があるとかないとかが人間の分別でしかないとすれば、営みの全ては無駄なことだとも言えるし、営みの全ては無駄なことではないとも言える。 そうすると、 「…

悩む場所

根本:「おやおや表層さん、いらっしゃい。いやあ近頃のあなたの活躍は素晴らしいものがありますなあ。でも、あんまり無理なさらないように。」 表層:「いえいえ何を仰います。私の活動は根本さんあってのことですから。それで、幸い身体の方は大丈夫なので…

苦しみが分散する

「他人の不幸は蜜の味」 なんてことが言われる。言わんとすることは分からないでもないが、私が他人の不幸を目撃したときに感じる気持ちとは少々違うようだ。 例えば、何か私の方でひとり、苦しみを抱えていたとする。そういった状態で周りの人達の楽しそう…

円を描いている

私より遥か前を歩いていると思っていた人が、今は私の後ろを歩いているように見える。 私より遥かに後ろの方を歩いていると思っていた人が、今は私より遥かに前を歩いているようにも見える。 おそらく、私たちは皆、同じ場所で同じような円を描いているので…

うぶ

何に拠って大人であるか、はたまた子どもであるかが決まるのか。精神的なものなのか、生活を立てているということなのか。 人に拠って何を基準に判断するかは異なるだろう。私の場合は、いまだ何に拠って判断したら良いのかが分からないでいるのだが、それで…

気にしないで 明るくいこうよ

誰しもそういうことがあるかもしれないが、何かのタイミングで一度怒ると、もう怒りはとうに収まったのにもかかわらず、次また怒った相手に会ったときに、何故だか怒りを継続していなきゃならないような気がしたり、そうでなくとも、怒ってしまった手前、な…

オロオロしにくくなった

別に嫌っている訳ではないのだろうが、何となく私との相性が悪い人がいる。まあ、いろんなタイプの人間がいるのだから、ひとところに相性の悪い人のひとりやふたり、出てくるのが当たり前だ。 と思えるようになったのは最近のこと。もっと以前であれば、何と…

キャッチボールと言うより、壁当て

よく、 「会話のキャッチボール」 などということが言われる。つまり、こちらが言葉を投げかけて相手が受け取り、相手はまたそれを投げ返してこちらが受け取るという作業の例えとして、キャッチボールが持ち出されているのだろう。 もちろん、会話において、…

何故わざわざ遠回りをさせるようになっているのか

以前、『「捉えた」と思ったのなら、それは捉えられていない』で書いたことに通ずるのだが、 「無心の状態を目指していく」 という道があることはそれとして、思い返せば(それこそ無心の只中なので、あまり詳しくは思い返せないのだが)、もともと幼児期に…

底があれば良し

「あなた新しい靴買いなさいよ。穴がいくらも空いてるじゃない。穴が空いてたら靴とは言えないよ」 う~ん、しかしまだ履けるのだ。多少穴が空いていようが構わない。 「雨も防げなきゃ、ゴミだって入るし」 確かにそうなのだが、言ってしまえば完全な状態の…

私が聴いていた歌は何処へやら

ある歌を随分と好きになって、好きになったは良いものの歌詞がハッキリとは分からないから、出鱈目を当てて合わせているという時期がある。 しかし、好きになったが故、出鱈目を合わせているのでは物足らなくなり、歌詞を調べてその出鱈目を正し、その好きな…

どうしても、目に見える表面でしか捉えられない

自らの町の、定点観測企画展なるものを見に行ってきた。つまり、数十年前の町と現在の町とを、同じ地点から撮影したものを見比べて、今住んでいるこの町がどれだけの変化を遂げたのかというのを、写真を見ることで確かめることが出来るという訳だ。 それなり…

長旅

どんなに地理的に遠い場所であっても、そこに訪れることが可能なのであれば、そことの精神的な距離は近くなると言えるだろう。訪れる難易度が低い場所(観光地や公共の場など)というのは、たとい地理的な遠さを持っていたとしても、人々の心の中では、 「比…

祭り自体は好きだが、それを取り巻く雰囲気は苦手

近所のささやかな祭りから、有名どころの祭りまで、およそ、 「祭り」 と名のつく催し事は結構ワクワクするというか、好きな方だと言える。 しかし、近所だろうが有名どころだろうが、ほとんどそれらしきものに出向きはしない。 「祭りを取り巻く雰囲気が苦…

真剣な訳ではなくて・・・いや真剣なのか?

「○○君って、テレビ観るとき、すっごい真剣に観てるよね」 何らかのドラマのようなものがその画面には映っていたのだが、とくにそこまで真剣に観ているつもりはなかった。だが、友達の親御さんには、どうも私が物凄く真剣にテレビに向かっているように映った…

嘔吐

夢も現実のうちだと言われたら、あなたは否定するだろう。 「いくら、夢の中で列車が飛んでいたなどと言っても、現実ではそうはいっていないではないか」 と。 なるほど、それに関してはあなたが間違いなく正しいだろう。では、内的現実についてはどうだろう…

「愛している」が適している

「愛」 だとか、 「愛する」 ということが、一体どういうものを指して言うのかがよく分からないのだが、 「愛しているぞ!」 と言いたくなるときはある。というより、その言葉が一番その場面に適していると思うから使っているのであるが。 その場面とは、何…

階段

コツ、コツと、一定のリズムで階段を上っている。しかし、一体いつからこの階段を上り始めたのだろう。後ろを振り向いても、ボンヤリとした暗がりが広がっているだけで、何も見えない。ばっと前を見返してみても、直前の10段ほどしか見えておらず、その先…

私から出ていったものが、私から離れたところで褒められるのを見ているのが好きだ

何か学校の行事があった後に、そのことについての作文を書く。 カラオケで、 「ねえ、なんか歌ってよ」 と言われて1曲歌う。 そのようにして、私の中から出ていった作文や歌が、私から離れたところで、 「良いねえ」 と褒められるのを見ているのが好きだ。 …