<2643>「啄木の詩人観」

【一握の砂・悲しき玩具―石川啄木歌集 (新潮文庫)/石川 啄木他】全編筆写し終えました。あまり短歌に馴染みがなかったこともあり、啄木の世界に入るまでに時間を要しましたが、写し続けているうちに、どんどんと啄木の世界が入ってくるようになりました... →…

<2619>「『1Q84』~大塚環と牛河利治(2)」

yutaro-sata.com 牛河さんも、家族というものに上手く馴染めなかった。 自分がかつて家族を持ち、郊外の一軒家で暮らしていたということ自体が不思議に思える。それは思い違いで、自分は都合にあわせて無意識に過去の記憶を捏造しているのではないかと考える…

<2613>「『1Q84』~大塚環と牛河利治(1)」

私は本読みではあるのだが空想に弱い。 現実には起こり得ないこと、起こる可能性の低い物事が次々に重なっていくと、段々と興味が薄らいでしまうのだ。 恐らくあの大ブームのなかで当時中学生だった私がなんとなくハリー・ポッターにハマり切れなかったのも…

<2561>「『かのように』再再考~想像的次元と現実的次元」

宗教の事なんて考えなくてもいい、というような態度を取る人に対して、私は不満がある。 それがしかも、他のあらゆる点では尊敬できる学者や研究者から発されていたりするものだから、何でそこだけ考えないで済ますんだとなおさら不満にもなる。 曰く、現実…

<2547>「警察小説~乾き切った世界」

沢山読んでいる訳ではないので、好みの中心ではないのかもしれないが、私は警察がメインの小説が好きだ。『マークスの山』しかり『凍える牙』しかり。 事件の経過を追いかけていくハラハラ感が好きなのは勿論のこと、こういう小説に対して大きな興味を覚える…

<2542>「即興で編集してペラペラと喋ること」

『心はこうして創られる』 何回も言及してしまうが、いやあ面白い。 今度はまたこの本を読んで違うことを考えている。というか思い出している。 本の中で、人間は記憶の蓄積を使って即興的に言説をその場その場で作り出しているという話が出てくる。 それで…

<2533>「夢を持つことの重要性」

『心はこうして創られる』を読んでいる。途中ではあるが、もう既に感銘を受けている。 つまり、人間の心に深さなどなく、つまりどこか奥深くに真実を宿した心があるわけではなく、心は徹底的に表面であると。 そしてその表面上でその場その場の即興劇を繰り…

<2415>「『ねじまき鳥クロニクル』~井戸の底、名前、戦争、綿谷昇」

【ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)/村上 春樹】物語は完結した。完結したがしかし、謎は深まった。なぜ、このようなエンディングだったのか。生きていくために何を絶たなければなら… → https://t.co/5qJHFFhBTY #bookmeter — yutaro sat…

<2405>「『第1回京都こころ会議シンポジウム』の中沢さんの講演」

www.youtube.com 動画自体は2017年のものですが、最近見た動画のなかでぶっちぎりで面白かったので紹介を。 詳しくは全編を見てもらえるとわかるのですが、簡単にまとめると、 中沢さんは心と物のかかわりについてずっと考え続けている。 どうにしかして…

<2378>「『水分れ、そして水隠れ』内の痕跡」

poetess21.hatenablog.com この記事を見、読みたくなったので、購入しました。 と、いきなり余談ですが。 読みたくなったので、と言いましたが、皆さんは、詩集をすいすいと読めますか? 私は読めないです。詩が好きで、書くのも好きなのに、読めないんです…

<2331>「時間が円であるということがわかると、・・・?」

鎌田茂雄さんの『華厳の思想』を読んでいる。 bookmeter.com すいすい読んでいこうと思っていたのだが、今日のこの、第一章の4がとてつもなく、前に進めなく、しばらく放心してしまった。 ちょっと辿れるか分からないが、整理してみよう。 まず、五感が便利…

<2292>「『神経質問答』を伝える、薦める」

ちょっと前の私なら、 「この本は強迫観念に悩まされる全ての人にお薦めできる」 と言っていたかもしれないが、今はそう言えない。 というのも、本で治るぐらいならばまだ病は軽い(おそらく中井久夫さんの言?)というのと、この、タイトルにある『神経質問…

「善意の怪物」は私であり、あなたである~『人間の羊』~

大江健三郎さんの作品に、『人間の羊』という短編があります。 主人公の「僕」が、帰宅途中のバスの中で、酔っぱらった外国兵たちに難癖をつけられて、絡まれ、無理やりにズボンを下ろされ、下半身丸出しの状態で背を屈めさせられ、露わになった尻を叩かれる…

一瞬で過ぎた全く無駄な、しかし楽しかった時間は、後々長さを取り戻す

今、ミヒャエル・エンデという人が書いた名著『モモ』を読んでいて、まだ途中なのですが、良い意味でのショックを受ける言葉が満載なので、ここでもひとつ紹介したいと思います。 『時間とはすなわち生活なのです。そして生活とは、人間の心の中にあるものな…