2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

<524>「無表情という仕事」

何故だ、何故こんなにまでしてそこから呼ぶのだ? 何故か、何故かを教えてやろうか? お前が、その呼ばれるつもりもない表情を見せてニタニタと笑い震えることを、こちらでは求めているからだ。 ふざけた期待だ。だいいち、笑いや感情などは即座に放り出し、…

<523>「声の跳躍」

しなやかだから私、ただの事だしどうしたらいいの? それは、順番に声になること。いちいち聞いていたら分かるだろうことを隣に渡す。 「おや、こんなもの、とっくに断ったと思っていましたが・・・」 「いいや、いやいやどうして、あなたがたの確認のなかに…

<522>「一秒がやさしく盛り上がるなら」

よく見るとそこは満杯であった。 「どうです、満足したでしょう?」 「いえ、満杯ではありますが」 ここはここで終わりです、そう区切りをつけて満足、しかしどうかなあどうかなあと思いながら満足になることがないひとつの道筋を感じている。 「合間々々に…

<521>「内証のまま」

内証の訪問で、見えないものの回転にぐらぐらと巻きこまれ始めて久々の休憩。それは、ひたすらボンヤリしていく過程に思えた。順番を示すとき、私が把握していることはそれほどない。その程度の理解で充分だと言わんばかりの振舞い、静かに降り、見る夢の多…

<520>「驚く習慣」

あたふたしていくだろうことを考え、やはりあたふたし、それを確認するとはどういうことなのだろうか。つまり、あたふたしているときには、そこに確認するという視線が、作業が入ってこないのではないか、ということだ。 動じないでいることなど無理だと悟り…

<519>「点と線の響き」

よく見ろ。あれは、線で見ているものの景色だ。そこへ、断続的な響きを渡せば、そここで不穏な揺れが起きる。当然だ。伝わった訳ではないはずだが、誰もが不安そうな表情に変わって通る。一体、何を表しているのだろうか。訊ねたことは? まだまだ、と言った…

<518>「ハシル」

「怪我は、それ自体がひとつの欠かせない魅力なのではないですか?」 でなければあれだけの近さと、硬さと、断崖絶壁が用意されるはずもなかった。傍で見て、ウーっと顔をしかめる仕草のなかの、ほとんどは快楽だと言ったらそれは誤りになるのだろうか。 ゴ…

<517>「溶けて入る部屋」

ここは、没入するべく用意された場所である。知らなかった? なに、構造物の形をよく見たらいい。意識のひとつひとつがまろやかに溶けていく過程をここでお見せしよう。 外からの声が、まるで聞こえなくなるなどという話に苦笑する。そんなことはない、そん…

<516>「夢が青い日」

青い景色を見、いつまでもいつまでも転落していく。これは、慎重な投げかけではないか。いつになく浮き上がりまたそれを気持ちよくは感じられず、この感情の盛り上がりを利用してひそひそとささやき続ける、その長いこと長いこと。待ちきれなくなった表情は…

<515>「日常の声に漏れてくる」

確かにここまでこぼれてきました。私には分かっていましたが、確かにここまでこぼれてきたのです。 「大きな音を立てるなあ・・・」 何も喋らないよりはマシだと言わんばかりの呟きも、場を徒にかき回して過ぎる。これでは冷静にならなければならないのが誰…

<514>「長い夜を招ぶ」

例えば、長い夜を招んだ。行きつ戻りつしない影、次第に退き、天才的な眩しさでそこを締める。それに引きかえ、ここは当然直線的な、一方向への歩みではない。紛れもない旋回、あるいは、次を決めない徒なふらつき、その余のもの。名前を訊ねる者が、次の瞬…

<513>「翌日へ跳ぶ」

これだけバラバラのものが、いくつもいくつも関係があると言いながら重なり合っていくんだ、訳が分からないだろう? 俺はとっくにそう言ってやって、視線を徐々に徐々にボンヤリとさせたものに変えていこうと思っているんだ。いや、そんなことを思わなかった…

<512>「道に呼吸が隠れた、」

鈍い痛みにちょうどよくはまりこんで、ひとり眠るもの、それからの季節を問うもの、同様に大きく、伸びて、帰る場所を知らない。ああ、行進は許可され、ひとりでに流れていくものたちに笑いかける元気、蹴り上げる風が、余計に回って、よろけ、落とし、挨拶…

<511>「泥酔と叱咤」

泥酔の底から、この空を仰ぐらしい眺めの、なんと見事なことだろうか。私は、ここまでの驚嘆を明日に返したことがない。 引きも引きながら、休息を、ものものしく貰っていくのだろうか。物凄い雨が、いくつもの見解を隠す。くらくらしていくらしい。まさか気…

<510>「宇」

ひところ漠然としたものが想定外の気配を持った。確認の為に、私はここで昼寝をするが、時計もいつまで時計であるかが分からずそれがいくらか不安要素になることはなる。大まかにひと掴みそれとあれと問題を一気に練り上げて上昇し息をすることを許したり禁…

<509>「体力があふれる」

これだけ重たく、だるく、憂鬱さを覚えるのは、体力が、溢れるほどにあるからではないのか。ただその日を耐えるだけで精一杯だった期間を経て、そう思った。次第に元気になってきたとき感じるのは、 「体力を、暴力的に使い切りたい」 という欲望だった。あ…

<508>「ひとつの染み方」

ひとつ、そこの考えをよく見せて頂きましょう。必要なものから順番に並べていくことを決めたって、一体何を基準にしたものやら、まるで分からないというのが実情だといたしましょう。そうしましたらほら、数にならないものまで数えてしまって、計算の内にい…

<507>「一瞬と徒労」

そんなことは、もう随分前に分かっていたのですよ、と言う顔だけ用意しよう。それでは何故今、ここで同じことが言われなければならないのか。並んだ顔に順番に問うていくと、ひとつひとつが次第に眠っていく、それはそれは丁寧に。あら、あなたがお探しの顔…

<506>「えっと、えっと、もうちょっと」

望めば、暗さにもなりまた渋滞にもなる。やがて、来た道は作られ後戻りは消え、本当に、この面積であるから満足だ。そうであろうそうであろうなら、またとない境遇、縁のない空。要領よく、感想をこぼすものは罪悪だ。 内密に、ええもう内密に。ガタが来たら…

<505>「比較の無意味」

必要でしたら、比較されたらいかが? しかし、それによっていくつかのこと、いや、かなりのことが分からなくなったのも確かだと思われます。自由に私が、私以外のものに移ったり、それでまたすぐ戻ったり出来るのであれば、比較もいくらかの意味を持ったのか…

<504>「秘密がなくなる」

秘密のひとつもないから、ここは大層謎めいて見える。探る場所が、きっかけがないとき、あなたならどうする? 何もない、なければないだけ、そこを覗いてくれ。暗さのなかへ飛び込んで、音もない風もない匂いもない。検討すべき場所もなければ、人たちが濁る…

<503>「異形」

だしぬけに、抉り出されたものの顔をしている。お前はそういう顔をしている。憤りに似たものが、一瞬で全体を駆け巡ったらしい。この瞬間に、選び出されるはずはなかった。そんな突拍子のなさは、選択にすらならないと思っていた。だが、慎重な迂回は、執拗…

<502>「存在の夢に変化する」

どうしてこうして来たって負けないぞ、と踏ん張る足元に、しかし殺到する諸々は負かそうと意気込むものではなかった。ぷつぷつと湧くもの、ひそひそ話すもの、知らぬ間に寛ぐもの笑うもの、遠くを見つつ移動するもの、などなどであり、これは反応の仕方を少…

<501>「歩行を濡らすもの」

現象が冷静であればあるほど、見える景色は美しく、またとない仕草が共に湧き起こる。臨む態度を、温度を、少しだけ変えられたのなら、こうまでして挨拶を少なくする必要はなかったのだ。 何ものの、苦しい顔。見えない場所から順に順に染み込んで、人を払う…

<500>「映像が足されたら」

他に、訊ねなきゃならないこともないなら、ここは一層無口な場所だ。順番に、返答を許して、緊張した空気が夢を見る。 ひどく騒ぎ立てたばかりの朝、気に入らない循環。大きな声また声を前にして、とっておきの気持ちよさもまだここにいない。 無関係とも思…

<499>「渦のなかの人」

後から言えば、それはそうなのだよ、ということが多過ぎて、他人がこういった発言をしているのを聞いたときも、自分がうっかりこういうことを言ってしまったことに気づいたときも、同じように嫌な気持ちになる。この、どうとでも出られる感じ、何もかも分か…

<498>「生活の沸」

生活が、この動きではなかった気がするなかから、また同じ繰り返しへと戻っていくのを見て、やはり生活はこれであったのだという、確認にも至らない確認みたいなものをここへ持ってくる。ただ、細かいことが、それに対して抱く意識が、それと分からないぐら…

<497>「持続的な投球」

これがあのときから、今ここへと送られている、良さかなるほど。そう言われてもピンと来ないが、ピンと来るのじゃ近過ぎるから、良いものを、なるべく遠くへ遠くへ、受け取った先で何の実感もないぐらいに遠くへ遠くへ。 今現在の柔らかさ、動き良さ、という…

<496>「同じものを見つめる」

あの人の目には、世界はどんな感じに映っているのだろう、などと考えてみたりすることは一般的なことかもしれないが、おそらく私が、この頭を持ってそのまま他の人の目に移ったところで、見えている映像が今までと大して変わらないので驚くことになるのでは…

<495>「呼吸が見えない」

例えばその一歩が、今ここに下ろされると、可能な限り遠くから、ぱた、ぱた、ぱた、と、必要なもの、必要でないもの、全てが伝わる。 故に、以前にも見たことがある、そんな気がしたのは、間違いでなかったし、偶然でもなかった。出来れば遠くから、順番に伝…