2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

<615>「ただ地面に触れるだけ」

私にとって、これは無言の抗議ではなかった。既に知っていることどもが、半ば気まぐれに、当然の表情でもって。おい、この忍耐は無意味だと知るぞ。しかし、座り込んだ。必要な動きか否か、そんなことは分からなかったが、とにかくにもいくらかのことを視、…

<614>「重なりの強さ」

これはとっくに打ち倒されているのだと思った。徐々に徐々に上手く動くようになっているのはよく分かるのだが、この瞬間を絶対だとするならば、どう見ても倒されている。だからおそらく、ここを絶対にもしないこと、ここを瞬間だとは思わないこと、これだけ…

<613>「通路、進行方向」

低く、低く、最終的に誰もに見つかっていようが、困難だろうが、また相談だろうが、何からかうことなどあるものか。笑うことすら、あるものか。ほとんどの時間歩いているのだと考えて、ほとんどの時間確かにこれは歩いていない。これから間違ったことを言う…

<612>「移る」

あら、そんなとこに寝ていたの? 誰が頼むのでもないでしょうけど、動きの仕組みを、秘密を教えてほしいと言ったって、不可解なだるさや中止、停滞がバラバラと解けていくのを注意して見ていても、私には何も分からないでしょう。謙遜して言うのじゃないけど…

<611>「円を描いて」

超えてきたはずのものが窓に映っている。順番に、ぼんやりと、あれはただ、ふたつとない挨拶で、 「進んだつもりでしょう? ねえ、過ぎたつもりなんでしょう?」 笑い、平静、挑発、大人と言えども帰らねばならない時間に浸透し、さあ、離れていいんですよと…

<610>「虚ろな穴はあなたを待っていて」

虚と実の、優劣をつけているようじゃ、私はまだまだ人間だ。おいそこの、そこのそこの、確かであるとされるもののなかに、なんという、またなんという、空っぽの出来事があると思う? あれ、 あれ、 あれ、 いつもそこを覗いているのにみんなして一緒になっ…

<609>「柔らかく跳ねる方へ」

おかしな冗談が、このままと言っても良いぐらいだ。誰ということもなく、静まり合って、もう間もなく大方が踊り出すであろうことを、遠い遠い物言わぬ空間だけが悟っている。あれはお前の心持ちだけで片付ける訳にはいかないことだよ。うん、と頷くと、この…

<608>「出る事の単純さ(時計には声がなかった)」

方々から声が聞こえた。素気なさだけが、私を訪ねてくれ。ああ、装飾が、しつこく邪魔をしなければ。 お前にだって考えはあり、お前にだって段階はあり、ともあれそれら全部が無表情と関係を結び、お前それはまた誤解を招くんじゃないの、なるほどそれに動く…

<607>「水のお手本」

身体、角度、脅かされて適度だ。どのように襲うとも、静かで、ゆったりで、発言の隙間があれば良い。徐々に徐々に、その主張が影薄く、寝ているうちの出来事でもこれが一番さ、という目覚めを求めていたらあなたがそこに居た。お手本となれよその水の流れ。…

<606>「見えない道を掬って」

もう思い出せないもの。結局、私と関係があるようには見えなかったもの。ひとつ、歩んでいくその音を聴かせてくれないか。誰笑う訳でもないが、苛立たしい、疑わしい、混乱もまた、予定通りに投げてくれるならば良い。 これは屹立、しかし勇気ではない。これ…

<605>「沈黙者の光景」

全体でないからこそ、この一区画の代表として、何かを述べているし、何か怒ってみたりもしているのだろう。一区画以上のものではない。しかしその一区画が、全体だとしたら。ほとんど全体と違わないものだとしたら。あくまでも全体を、志向するものであった…

<604>「処理法」

「怒ってるだろ、関係なくても怒ってるだろ。あれは何故関係のないものにイライラするのかという、自分の気持ちを処理しにゃならんだろ。あれは自分の処理だろうに。」 「いやね。自分ひとりでってことにしないで、自分のイライラは周りとも関係があるって、…

<603>「優しい昨日の顔貌」

こんなもの、どう変わっていったらいいと、言うのだろうかと思っていると、気がついたら全く違うものになってしまっていたり、するのだいやしかし、自分で動かすまでもない名前、という錯覚を持っていき置いとくと、非常な勢いで裏切られ続けていくからどう…

<602>「足す」

可愛げがなくて苦しい立場になっている人、可愛げがあってそのことにより様々の恩恵を受けている人、それらは人の自然だ。生のままで、美しい。一番汚い、醜くて見ていらんないのは、 「可愛げがないんじゃあねえ・・・」 「せめて可愛げを身につけなくちゃ…

<601>「人々と誰かが頷いた」

放られて、心地良い。順番に、現れて抱いて。ここもここも道で良いから。その代わり、足元は熱かった。訴えたくないことまでも、一切が、放り出してくれたから。なんだなんだ、頭ではただ、一度の喜びと白ける折が。珍しい湧き立ちと投げやりなひとこえが。…

<600>「あなた湧くのよ」

各々が主張やら主張にならないものなどを発していて、結果的にそこから全体の印象などを得なければらならない。いや、勝手に得てしまっていると話した方がいいかもしれない。つまり、判断を次々に裏切っていっている訳ではない。ならば、これは何なのか。 「…

<599>「無照明の回転」

膨大な場所、あらゆる広さで、そのどこにも私がいないということが分かり、「私」ということは違和感だということ。結局そのなかに入って、しばらく座っていれば、きっとその一部になるのだろうか? さあ・・・。くっきりと浮き出ているだろう、くっきりと浮…

<598>「抱擁」

だってさあ、抱いてやらねばならないんでさあ。少しだってどうぞまた、ないがしろにされたってそりゃあ、このなかに含んで舐めて広がってやっていかなきゃあ、それはならんでしょうに。音もまた伝っているよ。ひどくひどくなんでもないと装いながら。このま…

<597>「空白へ吹く」

ここには空白があった。しかし怒ってはいなかった。ここには計画もあった。しかしひたすら呼ばれていたのだ。ここには長いこと待たされる人があった。しかしこうした。 おおい、おい。おおい、おい。私は、怒らなかったじゃないか(それが重要だ)。私は、何…

<596>「肢体した緊張をほどいて」

綻びる、いやいや、束の間の休み。試みる、あはあは、膨大な一歩、また一歩。当ててみる、なかなか、難しい展開とその順番に。まろび出る、どうやら、緊張しいしい用意がなされるそこの場所。溶けてみる、まだまだ、優しさの、あなたの傾きが必要だから。 私…

<595>「あなた口をアけて」

何か頼んでいるのか、不思議な人だ。関心は関心でぶちこわれてゆく。返事をもらっても、特に反応しなくなっている。 「あれ、転がされるでもないと思いますか? あなたならどうです?」 訳、訳、この話を聞いてくれ。話していると方向がズレてズレてしょうが…

<594>「私は帰らない」

日々の掛け声がどうということもなく上を見て下を見て、ひとりだに帰ること能わず。誰彼が、訊ねる間もなく意識が沸騰して、もじゃもじゃ、もじゃもじゃと、これは渡り合いおそろしいこれはただの渡り合いになる。何度も何度もねじり上げられてさぞや不愉快…

<593>「呆れた無限定の巣で、そこに住んでいる」

一度や二度ではないって、大胆なことを言うではないか。大体が、放り出されたそばから瞳を柔軟に捉えて、べちょっとそのままになる。ひとっつも思い出と呼んで差支えないのだから。 「ちぇっ。本当のことを丁寧に説明すればいいと思ってやがる」 飴玉は苦み…

<592>「次々にこぼれて」

裂けているのだから見るでしょう? 裂けているんですよ、あなた。誰が見たって同じことなのかもしれないけれど、ちょっと奥へ向かえばこうなのだと教えられたような・・・。 「ちょっと、ちょっと。あなたの中身はそんなんじゃありませんよ」 え・・・。あ、…

<591>「隔たる眼」

やさしい目。長々と見られながらこの間回転と、その方法。特別この待ち合わせを、唐突に用意した訳でもない。だが、訪ねる人は皆、用件が急に生まれてしまったかのような顔をして、こちらをうかがいながら足早に過ぎ去ってゆく。 あれ、これは、あなたが閉じ…

<590>「水が流れるように」

なるほど得意な速さでそここの頑丈さを欺こうとするその意思が、意思と再び約束されたひとときの空白が現れてくる。何度ぼんやり思って何度ぼんやり思ったところでここから何が分かってくるのだろうと思ったことだろうか。ただそのままであるということに意…

<589>「血液がまず起きて来た」

いつもと違って静かな音だった。どうしたのだろう。止まって考えないでもないが、やはり親しい事と、どうしようもなくバラバラになる事がセットだと言うのだ。 「そんなはずはないでしょう。もう一度よく確認してもらえませんか」 何を確認したらいいのかが…

<588>「僅かに」

そこここが、謎めいて見えるというがそれは君が承知したからではないのか。徐々に覆いとその量と、懸命な交代とが丁寧に笑みを作っていくぞ、いいか。悪いかそうでないかと問題を充分に広げて見てあたま。こんがらがればそれだけ普通の一連をちょくちょく驚…

<587>「揺らぐ人、新しい色」

気をつけていればまた、内緒を用意されかねない。お前が触れたものがここでまた、ヌブとまた、落着いていかれるのだという大号令をかけている。自在、自在らしい、自在らしくあるもの。 「これがあればね、何でも出来るんだよ」 「そうなのね。しかし、それ…

<586>「いない目のこと」

この場所にもし視線がひとつないとすると。そんなことは当たり前のことだがもしないとするとどうなのだろうか。それでもつのか、もたないのかなどという余計な考えを早急に取り去って何故か私は緊張している。多分、緊張自体を望んだ訳ではないのだが。 何が…