2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

<1126>「燃焼はあたしのです」

とても長い声だった。 それは地下通路でも、駅のホームでもある。 反対側を向き、 それはあたしのです、取っておきましょう、と言う。 右のポケットはいまや消えてしまう方角を眺めている。 身体を動かす理由もなく、ベンチにいる。 とても長い長い声。 どこ…

<1125>「また鐘、踊りの隙間」

透明な行方。 明るみに出でた日、ひとりのそばへ。 絶えず被さり、絶えずつぶやいている。 おおでを振り、一切語らう。 その沈着。 日の後ろへ隠れる。 一切はとけ、紛れもなくたゆむ。 日の後ろへ姿を隠す。 陰々と音(おん)、音(おん)おとだらだと歩む…

<1124>「線の人が待っている」

運ぼう。線の人が待っている。 見たこともなければ会ったこともない。 この時間はどこかで滲ましょう。 ただ溢れていく待っている。 待っていて、夜に優しく赤く光る。 今夜中なぜか懐かしかった。 とすれば、ひどく揺れて揺れて 変わり、 今からずっと先目…

<1123>「唇から灰がこぼれる」

彼はまたなにか分からない方法でゆく。 ゆえに、また起床し、ゆく。 人は、よく考えて決めた。 わたしには前提がなかった。 よく考えることが、決めることと一致していなかった。 そこで、灰になると言われる。 灰はただわずかな風で吹き上がるだけとも言わ…

<1122>「那辺の子」

那辺に立つのと。 この子 どこの子。 オーブリガーダ 分からない。 なにも、そこまで、はっきりと、見ていても、 対応するものとてない、 距離のままにある朱色の目。 小さい方と、大きい方で 適当に、リズム、見るに、ちょうどよくなるところへ、据わる。 …

<1121>「等速の鈍さの日」

等速の日は日。 面影 また普通の歩行路。 揺るぎない。 いつのまにか浮かんでいたこと。 おそれ ただ不明にかかりあい。 弾む 日は平然としている。 動揺の容れ物。 移動が高速でないこと。 知らんかしら。 ある枝分かれの根のものとしての今。 誰かしらん。…

<1120>「変形する土の中」

剝がれ 剝がれ 似 集む 剝がれ よし、一個、膨らみ、 覆う わたし わたし モディフィケート 突然、不安。 垂れる 垂れる、またはただ暗がり。 イチョウの葉、ただの暗がり。 たとえばあなたがたがあらゆるものと、 途次と、また途次と。 ただ暗がり、ただの…

<1119>「普通の顔が入る水」

また普通の表情が出来たら。 そのことだけを考え、小さく身体(からだ)を折り曲げる。 そして朝、そしてすぐ紛れる。 一切が音へ、一切が他者へ流れ流れてゆくにつき、小さな鐘を叩き、静かに座る。 わたしはこの川に半分だけ身を浸している。 そして朝、そ…

<1118>「声に、水が触わる」

また声だ。 隣には産声。 もろとも、長い、長い。 ひとりで遠のく。長く影であればと思った。 私は出なくなった。 まるで何事にも応えなくなった。 そのとき、回転体、月は、途方もない音になったと言う。 わたしは口を開けていた。 どこからが自分の声で、…

<1117>「まじないが溶ける水」

冷静な男はひとりで平気に溶けていた。 もちろん砂糖もいらない。 意識は富む。平べったくなる。 まだらな席で、まだらな飲み物を持つ。 男はこの後、十年先でまた同じ視線をのばす。 記憶が私には何の関係もないことだった。 手首が痺れる。それももはや何…

<1116>「継ぎ接ぎ」

秘密をあらわして平然としているもの。 時計、涙。 偏った一日。 野放図な華やかさ。 パイプ。一日休む。 呼吸のきはどさ。 当たり前の印。 過去へ一歩を置いていること。 点の表情。 線のにじみ方。 新しい出会い。 ニュートラルポジション。 ひとりの机。 …

<1115>「ビブラートの夜」

トーンで、ひとつへ、違いない。 わたしと、ビブラート、ひとつへ。 緩めば、声は、声としても。 おととい。 ただの溜め息。 夕方を上手く数えなくなった。 掃きたい。もっと掃いていたい。 ことば。 ことばふらつく。 まだしものことばはふらつく。 ひとっ…

<1114>「手から滑る」

傘のなかに入り、簡単に無言で、静かな道路をゆき、山をゆき、山をゆき、ついには門へ辿り着き、建物へ入ると、 他者、他者、他者のなかまた喧騒である。かたまりのなかにひどく不似合いなひとりの自分が紛れていく。 という思いを、また他者もひとりとして…

<1113>「タンゴ、品」

全身と物。 舶来品。 たった一度流れ着いただけの。 全身と もどく。 ひどく舶来品の。 または タンゴ。 または 香り。 頻度、頻度、到着として。 あらがう、と、ためらう。 揺れているもの。 全身と 滑る。 ひとつにはあたたかい。ひとつには撫でる。 もの…

<1112>「あなたの別人の記憶」

その表情をよく見た。 特段騒がしいこともない場所で。 その表情はよく見られ、忘れられた。 あなたは決心していないのだと思っていて、 「別に何かを決心した訳じゃない」 と、よく言っていた。 しかし、特段騒がしい訳でもないこの場所へ居て、ひとりで黙…

<1111>「楽しさという問い」

普段楽しい部分を抑えているって、なになの? いいよ、いいよ、うっかり出てきてしまう部分が楽しさだっていう利点はあるよしかし。 普段抑え込んでいるものが楽しさなのってなになの? 「ねえ、何が楽しくて生きているの?」 という隣の席の子の問いを大事…

<1110>「ジェットコースターと本と」

午後になる。お酒を買いに行った。 何故お酒を買いに行かなければならないのか、それは分からないのだが、ともかく行った。 ジェットコースターの話を思い出している。強度に関係することだったろうか。 ジェットコースターの上から 男が叫ぶ。 「ベンチに座…

<1109>「人間の中で」

あなたが人間である限り、とてもわたしには気に食わないのよ 道々百遍その言葉を考えてみている、 果たしていつか、道理の川に浮かみ、気ままに流れていたあの様子へ辿り着く、 川に浸しているこの頭は、この言葉は人間のものなのであろうか、 わたしは発話…

<1108>「あなたまうしあけ」

あなたしわざ あなたまうしあけ、 あてど、、ゆる、あてど、 あなたまうしあけ、 ひ、、みじか、ひ、、隙間、 先の見える薄い板、 揺れ、と、揺れ おのが声やどうした、 声、くりゃあ、ゆ、よろめいた おのが声くりゃあ、や、どうした、 や、声や、 おどろけ…

<1107>「強度と日常」

‐昨日もここに座っていましたね。 ‐ええ。 ‐なにがあったんです。 ‐いえ。特になにがあったという訳ではないんです。 ‐そうですか。 ‐強度。 ‐はい? ‐強度について考えていました。それを得るためにどこかへゆこうとして、ためらい、また同じようにしてここ…

<1106>「疾く、奥」

もくしてざぁし、 もく、もく、もくし、 あらかたの目(moku)、目(moku)、過ぎ、、 木(moku)と目(moku)とのあいだ、ひとみ、 揺らぎ、 うつす、けむり、煙、粉、おんじょうまたおんじょう 粉、ぽく、ぽくと木(もく)、円(en)、円(en)、 響(kyou…

<1105>「隙間へ帰る」

いつとも知れずに集めている、、 鳴らす、おそらくの誰、鳴らす、 そのかずえにはらはらして いる、 ものがゆらゆらとする ものがみしみしとする せりあがりながら、 おんいっさい隙間をうかがって、 そこへ転がる、 不透明のなかを運んでいて、誰 誰かは誰 …

<1104>「あそむ」

どうぞ 過去 お見立て 幻想持ち お見立て られたから、 お見立て られかけて られたかったから だけだから、 ひとりの都市へ、 車の記憶に沿う、 ひとりの都市へ、 あなたは香りを被り、 現実に見立てる、、 ひととひととの幻想からは はにかんで出(で)、 …

<1103>「季節は、生きた私を」

あなたはぼぅとしている、 顔を返している、 不自然な姿そのままでぼぅとしており、わたしにはわからない、 ゆるむ、問題がにじみでる、 ひとはそれぞれで無口に、時間的に無口になってゆく、、 あなたは同じ顔をしている、、 それはいつかの喜劇をなぞり、 …

<1102>「生一切声」

とこう駆けようか、見よう、、 過ぎ、過ぎ、経つ、見、ごろ、 うたのはやし、もといしょ、沈んしょう、、 うたがわしき、み、も鳴る、鳴る、 そして、合わそ、澄みそ、 もとより人は雨の後で、 雨の後ろで、、 しょういっさいごえ、ごえも、す、す、と鳴り、…

<1101>「新しい汗を辿る」

名乗り、 焦ることのない 誰 誰 ふたつに分かれた 呼び止める 順番にあなた わたし 過去、回転性の名前、 ただにひらく、 待ち受けている、 昼も夜も、寝ぼけたあたまもなく、 ひらく、 過去、ひとつのさわぎになる、 遠のき、かしぐ、 その名前と いつまで…

<1100>「亜熱帯」

と、見ると、 亜熱帯、止まっている、、目・・・ ぼんやりした、、 魅、、両手で顔覆う、の、 肌、は、やはり、、目・・・ 意味、、 ほか、うっちゃり、その、ながのしせんにすみ始めた、 こうして軽々とこえて、、 目・・・ あるいはぼんやりして、、ただに…

<1099>「香り、踊る」

香りは待つ。 ひとつ 待つ。と、ひらき、、たたまる、 また、や、 ひとつのは、ひとつのせ、、 もぐる、、触れてきて、 踊りやがる、 掛け、はい、ほぅ、おぉと 踊りやがる と、たび、、うなずき、 の、ように、越ゆ、 安心し切り、ただひたすらに、思い出さ…

<1098>「一声で眠る」

当たり前に声揺ろう ひとことめで揺ろ うつろ 小さな言葉、 あなたがたハッし、 熱のゆく場所、、 ひとたび、ふたたび、ほど。 おとずれる、、声はおろかはとつく息の、 手合い、 あらたに惑おうとす、 小さな指でこすり、にじむほど、 染(そ)むはひと音声…

<1097>「だから、ただ、」

だから、たら、またぐらは、た、からだ はたまた、からだまた、たまたまだ、 かたまったままだ、からだから、 または、ただ、ままなだけだ、 から、かたや、あたまだ、ただわたし 過去からや今、もとはと言えばただ、 浮き沈み持ち持たれてゆくのだから、 か…