<2606>「卵と記憶」

 なかを探りつつ来てください、、

 あたしのなかになにほどのものもなく、、

 今、

 あなたがこの円に加わる、、

 ここはまだ、生まれたばかりであるらしく、、

 私は、

 それぞれのはじまりへ、からだをうつす、、

 うん、

 そのジのからだのはてに、、

 あなたはうつる、、

 あたしは、それぞれを見ることが可能な、

 ひとかたまりの人間になって、、

 こちらを、そっと、、

 見つめている、、

 

 ねえ、その、、

 いくらか粒の潰れた、、

 私が、そっくり重なる方へ、、

 ものの、からだを、、

 十分にください、

 あたしはそれを眺めている、、

 これがどこにゆくのか、

 まったくもって分からないまま、

 じっとこちらを、眺めている、、

 あなたはその時刻のなかにいました、、

 もう少し見えてください、、

 うん、

 なるほど、、

 だんだんとはっきりしてきましたね、、

 あたしはこのなかへ声を掛けたんです、、

 誰がこたえるか、

 それは知らないけれども、、

 あたしはそっくり潜っていったんです、、

 私は空間です、、

 ただ、

 あたりまえに用意された、、

 からだの穴なのです、、

 どうぞこちらを見てください、、

 次々に生まれているところが見えるはずなのです、、

 あなたがそうして複数に繋がるところが、

 はっきりと、

 映るはずなのです、、

 

 あなたはただ落ち着いて、

 もののとおんに合わせ、、

 からだをはじいていたらいい、、

 あたしは跳びますから、

 そこで見ていたらいい、

 なかになにかありますか、、

 沈黙した、

 液の静かな流れが、

 あるだけでしょうが、、

 このヒにいくつも含まれたのだという、

 興奮が、

 そこにあるだけだとは思いますが、、

 あなたが増え、

 まろぶだけだとは、思いますが・・・