真剣な訳ではなくて・・・いや真剣なのか?

 「○○君って、テレビ観るとき、すっごい真剣に観てるよね」

何らかのドラマのようなものがその画面には映っていたのだが、とくにそこまで真剣に観ているつもりはなかった。だが、友達の親御さんには、どうも私が物凄く真剣にテレビに向かっているように映ったらしい。

 目つきがそう思わせたのか。それとも私の体勢が、テレビに食い込むようであったからなのか。まあ、真剣ではなくとも、ボンヤリ観ていた訳ではないことは確かなのだが・・・、ボンヤリ観ていないということがもう既に真剣の証なのだろうか。

「テレビとはボンヤリ観るものである」

という考えがその親御さんのなかにあって、

「つまり、ボンヤリ観ていないあの子はそれだけでもう真剣に観ていると言える」

という判断が為されたのだろうか。

 しかし、目的の番組があって、それは真剣そのもので向かうこともあるけれども、

「以前から観ようとしていたからといって、画面から目を逸らさないにせよ、真剣な視聴態度を持って臨んでいる訳ではない」

という状況って、数多あるのではないかと思っている。少なくとも私はそういう態度で臨むことが多い。

 真剣でも、ボンヤリでもない視聴の仕方がむしろ、私の中では一般的だ。