これだけ拒絶反応が出てしまうのだから、おそらく根底にあるのは嫌悪だろうと思っていたのだが、後になってよくよく好悪について考えてみたら、いやはやそれは、
「好」
の方であったことを確認することが多いのだ。
では、あの拒絶は何だろう。それは他でもない、
「場違いな所へ来てしまった」
という意識から来る、居心地の悪さに由来していた。
あまりにも無邪気に、うぶな心持でもって純粋に遊戯に身を任せていると思っていて、ふと、目を向けた四方の壁に認められる桃やら赤やらの彩りに、いきなり圧倒されるあの感じ。戯れていた場所の、あまりに女性的な空間であることを悟ったときの、あのいたたまれなさ。
「いけないところへきた」
というあの気まずさ。
「そこは入っちゃいけないとこだよ」
と、誰かに指摘されて初めてそこが立ち入り禁止の場所であることを理解し、自己の好悪など出る間もないまま、
「しまった」
と反射的に飛び退くあの感じが、関係に突然入れられた居心地の悪さに良く似ている。