「ひとりで思い出し笑いをしながら歩いている人って不気味よねえ・・・」
「あはは、そうですねえ・・・」
本当はいつも思い出し笑いをしながら歩いているけどな。そうですねえとか言っちゃったよと、さっきの会話を思い出し、笑いながら帰り道を歩いていた。
一度思い出し笑いの状態に入ってしまうと、なかなか止まらない。
「外で笑うのはやめなきゃ」
という意識が逆に作用して、どんどんと笑いが増幅されていく。
「仕方ない。もう収まらないから開き直って思い切り笑おう」
と、全開でニヤニヤしていたところ、道行くお兄さんと目が合ってしまった。
「ああ、しまった・・・恥ずかしい・・・」
と、こういう場面でなっていたのは昔のこと。今は、
「あ~申し訳ないねえ・・・怖かったろうに怖かったろうに」
と、むしろ相手の方を気遣うようになっている。
これが大人になるということなのだろうか。
「それにしても、お兄さんには気の毒だった・・・」
本当に気の毒だったな、と考えているうち、またそのことで笑いが込み上げてきた。