底があれば良し

 「あなた新しい靴買いなさいよ。穴がいくらも空いてるじゃない。穴が空いてたら靴とは言えないよ」

う~ん、しかしまだ履けるのだ。多少穴が空いていようが構わない。

 「雨も防げなきゃ、ゴミだって入るし」

確かにそうなのだが、言ってしまえば完全な状態の靴だろうと雨が降りゃ染みるし、砂や石などもどうしたって入るのだ。

 「それに、見映えが悪いし」

まあ、買い替えろと言われる一番の理由はこれかと思うが、見映えが良かろが悪かろが足にはそんなこと何の関係もない。つまり、靴というのは、一応の底があって覆いがあって足の裏なり表面なりを守っていてくれりゃ、それで充分なのだ。それ以上は求めない。

 しかし何だな、まあ、着られなくなったポロシャツの端っこでも何でも貼っつけて、穴を塞いではおこうかな。