<1115>「ビブラートの夜」

 トーンで、ひとつへ、違いない。

 わたしと、ビブラート、ひとつへ。

 緩めば、声は、声としても。

 おととい。

 ただの溜め息。

 夕方を上手く数えなくなった。

 掃きたい。もっと掃いていたい。

 ことば。

 ことばふらつく。

 まだしものことばはふらつく。

 ひとっ風呂浴びたあと。

 夕暮れは風呂ではない。

 しかしどこまでも夕暮れの風景だ。

 この汗。

 このさわやかなジュース。

 いささかも疑いのないトオンで。

 歩いて。道はただに掃かれていた。

 おそらく剥き出しの。誰の、何に対しても剥き出しの。

 みかんの香り。綿菓子。

 夜にふらっと外へ出たこと。

 突然誰からも無関係になったこと。

 車も、音もない。

 かがやきも、あたまも。

 夕方は掃いてしまった。

 あたかも、あなたも、あなたも。