とても長い声だった。
それは地下通路でも、駅のホームでもある。
反対側を向き、
それはあたしのです、取っておきましょう、と言う。
右のポケットはいまや消えてしまう方角を眺めている。
身体を動かす理由もなく、ベンチにいる。
とても長い長い声。
どこか近場へ、折り畳まれた快活さも一緒になって、喉元を探る。
ただの広間。
かちくりぱちくり燃えているもの、折れていく木の枝と、全ての好奇心。
全てのひとり言。
その燃えているものはあたしのです、ひとつ取っておきましょう、
と早々に言って、反対側を向く。
右ポケットは素直に歴史を探していた。
あるいは落ちているものを拾っていく。
片方では足りない、片方では足りない。
お前が全部と承知したんなら、より疲れるようにしよう。
しかし、わたしはどっちらけの好奇心だった。
早い、
全ての好奇心が、
掛けた言葉が、
右ポケットから真っ暗なイメージを取り出し、わずかにくわえている、
あるいはひとつにまとめるということを、あまりにも簡単に考えていたのだとして。
線のことを考えようとして。
途切れる。名前も、そぶりも。
ただひとつまた取っておくとしたら、
それは信じているのでもなく、諦めていないのでもなく、まだ見ていたいのでもなく、、
ただの行為なのだというところへ帰るだろう。
いついっか何時何分の記憶に紛れて、
声も短く、歩道に出る。
あるいは大きな口がアいている。
とめどなく過ぎ、流れ、響き、重なる。
同じトーン、同じ身振りで、まともに見ている。
ふたつでも、みっつでもよっつでもあり、、
なにか納得がいかないという顔をされる人。
しかし、分からないものは分からない。
必要と、熱と、あやしさと、わずかな起床。
そのそばにまみえ、
せすじが新しくあっけらかんとのびている。