<2902>「種、新しい水、新しい春」

 からだにとり、

 知らぬ場でありながら、

 あたしは水を問い、、

 うつりゆき、

 水を求め、、

 またしらない地点へと降りる、、

 あなたの肌に、

 よくあつまり、、

 それぞれの、

 響きの大小をききわける、、

 かたまりになって、

 大小へ水を通す、、

 ああ、

 あたしにはまだ魂があって、

 それが現実に、

 確かな眼をひらいている、、

 

 あたしには浮かぶ、

 水の薬があって、、

 あたしにはつかめる、、

 このひとつひとつのこまかい粒が、

 そばであたしや、

 それ以外の時刻だとおもって、

 からだになって、増えている、、

 それが日常であると、

 順にきいてくれていること、、

 あたしは影になって、、

 目の前のものから、

 徐々にこぼれていくのを、、

 確かめることができ、、

 しずかなからだのなかに、、

 あたしはうずを見ることができ、

 しらない場所から、

 あたしは自身の色彩を、

 放ることができる、、

 からだにはいくつもの種、、

 いくつもの惑い、、

 そうして、

 力強さが生まれて、

 この光景も、

 まだ、

 私とふたつになっている、、

 そんな気がするのでした、、

 

 あたらしい春に、、

 何度も流れ込んだ、

 あるあたりまえの液のことをおもい、、

 私はくずれて、、

 水の生まれる前に、、

 透明にくずれて、、

 あたしはその肌を撫でる、

 まったくしらない方向へ、

 生まれてしまったものたちへ、

 ひとつの風を送る、、

 ひとつのつらなりと、

 ひとつのあたらしいまたたきを・・・

<2901>「『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』」

 アマプラにて。

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 映画を見ていて一番興味深かったのが、

 「チャーチルの素質や能力をよく見極め、その力量を一番認めていたのは、英国の仲間ではなく、敵であるヒトラーその人であった」

ということだ。

 

 チャーチルは過去に大きな失敗を犯していることもあり、あまり議会の面々からは良い評価を受けていない。

 普段は酒ばかりのみ、感情を露わにし、周りの人を怯えさせている。

 とてもリーダーとしての器にあるようには思えない。

 

 ハリファックス卿やチェンバレンには完全に見限られており、いつ失脚してもおかしくないように見える。

 

 しかし、まさに敵であるはずのヒトラーが、正確に言えばヒトラーの、チャーチルに対する評価が、流れを変える。

 あいつは、ヒトラーが、おそれるほどの男だと。

 

 

 歴史上の、片や英雄、片や大悪党。

 ただ、チャーチルとヒトラーは、人間的にすごく近いところにある二人だというような気がした。

 

 いつも怯えていて、震えていて。

 そして、徹底的に言葉や、演説にこだわっていて。

 その怯え、言葉へのこだわりの両方から生み出される、扇情的な語りは、人々を動かす力を持っていて・・・。

 

 どこか精神的に通ずるところがなければ、ヒトラーは、この、チャーチルという人の持つ凄みを正確に掴むことはできなかったのではないか。

 

 リーダーを選ぶ営みというのは不思議なものだなと思う。

 誰もが認め、この人ならと皆が思える人が、通常はリーダーになる。

 しかし、リーダーに相応しい人が当たり前にリーダーに選ばれるという過程に、時々、人々は疑問を持つ。選ばれようとしている当人ですら何かしらの違和感を抱く。

 

 そういうときに、どこから出たのか分からない、異形の姿をした人間がやってくる。

 誰よりも大きな不安を抱えて。

<2900>「生命は、簡単で、においがあって、水が垂れて、はずかしい」

 からだ膜になるよ、

 知るよ、、

 あたしは知る、、

 有限時間、

 有限素振りで、、

 あたしは、

 ひとつ、ひとつをつまんでいくんだ、、

 からだはあたたまる、、

 あたしにまだ来るもの、

 あたしが吐き出すもの、

 吐き出すものを、

 見つめているのは、、

 私の魂なのだ、、

 私は、この、

 正にも負にも振れない、

 ただの穴を、、

 あなたから送られる、、

 

 その秘密は、、

 見えない暗がりから、

 息を届けている、

 わたしは、黙って、、

 その、風の連なりに、

 身を、

 ゆっくり置いていく、、

 うん、、

 しかし水がここまで、、

 しずかに、吐き出されて、、

 そのまま、深く、、

 からだの管にまで、

 届いている、、

 あなた、

 少し日にあたってきたらどうだろう、、

 それは、うん、

 それはそうだった、、

 私には、

 人工的にのびる、

 生命の線が、

 内側で生まれ、育つのを、

 眺めている習慣があった、、

 あたしは、

 言語帯として、

 しずかに、

 この環境のなかに、鳴っている、、

 

 あたしは、

 からだに、はずかしい、、

 こんな、簡単で、

 においがあって、、

 水を垂らしている、

 生命が、恥ずかしいというおもいと、、

 水が、おどり、、

 私が、どこまでも行こうとする、

 からだが、私と、どこまでも行こうとする、、

 その、混ざりあいで、

 生きている・・・

<2899>「秘(あ)密」

 知らない街の、

 知らない片端に、

 あたしは液として存在し、、

 どこまでも音として通る、

 どこまでも浮いていく、

 秘めていく、

 秘密がなくなるまで、、

 ずっと、ゆっくり、

 秘めていく、、

 あたしは宇宙の代わりにはなれない、

 その代わり、

 秘めていく、、

 秘めていく、

 内証の言が、、

 そのまま腹をあたためるようだよ、

 

 あなたとして、

 からだはあり、、

 からだは縦横にうつり、、

 ひたいはひらき、、

 ひたいはうつり、、

 からだにくる液、、

 あびて、あびて、、

 見つめる液、、

 あなたの圧力、、

 あなたの背景、

 またそのままそばで、、

 またあたらしい角度のなかで、、

 私が見てきたこと、

 私がそれぞれを見つめてきたこと、、

 過去を読む、

 過去をただ、透明にひらくということ、、

 あたしは畳み、、

 あたしは膨らみ、、

 しずかな水のなかで振るえる、、

 あたしはからだのみになり、

 しずかな枠の中で振るえる、、

 あたらしいひのかたまり、

 したたかな量、、

 しずかなけはい、

 しあわせな姿のなかに、、

 あたしはいる、、

 あたしはもっと溶けている、、

 あのそらの、、

 しずかにわれるところから、、

 あたしこぼれる、、

 

 ああ、

 あの、秘密の扉も、、

 あたしには無量、、

 あたしには永遠の影、、

 あきらかなヒのかたち、

 あきらかなヒのかけら、、

 あわさったヒの午後の、、

 あたたかなうめき、

 あたたかな眠り、、

 ああ、あのあたしの、秘密の量・・・

<2898>「人体と液、」

 私がしらないところではいているもの、

 まだ身体なのに、

 まだ命の、

 点灯したところだのに、、

 私は騒音に悩まされていた、、

 ひとの、

 どろっととける音がした、

 熱量がした、、

 あたしは、

 それを内に抱えていることが、何だか、

 少しずつ分かってくる、、

 だから良いとはおもわない、

 ただ、分かってくる、

 人間が違う、、

 

 私は、

 今まで見てきたものとは、

 違う場所に入り、、

 あなたを、、

 あなたをまとおうとして、

 また、

 ひたすらにとけて、、

 それで、

 いくつもの形が、、

 そこへ混ざろうとしている、、

 私には、、

 からだの違いが見分けられない、、

 あたしは、

 ふたつの意識のなかの、

 そのお前に相当するものの、

 ふたつの不快のなかへ、

 まっすぐに、

 液を沈めていく、、

 しらない、

 しらないからだがそこで揉まれて、、

 私はただ、

 真透明な肌になっているのを、、

 ここで感じていた、

 ここで感じることで、

 時間が長くなっていった、、

 液も、熱を持ち、、

 かんたんに、

 人体から垂れていた、、

 

 あなたが見守るその、、

 僅かな光線の世界、、

 そのなかに住むこと、

 そのなかに育つこと、

 そのなかで泡立つこと、、

 私は離れて、、

 過去の、

 一量のなかへ私の姿を合わせる、、

 そっとさぐる液、、

 あなたが、一量で、、

 その底を、さぐる液・・・

<2897>「この皮膚の匂いが、お前にもきこえるだろう」

 お前が心臓のそばで、

 そうして、

 はたをかけるおとをきく、、

 あたしはその、

 だれでもない、、

 中心の、

 無感の穴を、ただ、

 一心に見つめている、、

 お前は声を起こさないで何をしているの、、

 からだ、

 からだからきてくれ、、

 と、、

 ひとつ言いながら、、

 私ははてまでからだをひろげていく、、

 と、

 ひとつ言いながら、、

 

 あたしあの鼓動の、

 なかへ住んだよ、

 なかへ住んだよ、、

 ねえ、、

 しずかな感情の線の、

 その複数に走る仕方、、

 あたしは見たよ、

 あたしは見たよ、、

 どれが私の液、、

 どれがあなたの液、

 散って、散って、

 散って、散って、、

 あなたははじまったよ、

 この皮膚の匂いが、

 お前にもきこえるだろう、、

 お前にもこの肌の匂いが、

 きこえるだろう、

 きこえたら、、

 からだをどんどん振ってくれ、、

 ただ生まれるばかりの、

 その地表面にからだを、

 ふってくれ、ふってくれ、

 ふってくれ、、

 あなたは手のなかに混じるから、

 私と、

 私とともに、混じるからさ、、

 

 あたしのひたいのとこ、

 からだが入るとこ、、

 あたしあぶないの、

 なんの、なんの、

 あぶないの、なんの、なんの、

 わたし、

 からだあぶないの、

 なんの、

 わたし、ほどけるの、、

 うん、どうだろう、、

 僅かな液が来れば、

 それを合図に・・・

<2896>「秒の私のなかへ、染み通る」

 ひとつの悲しい方法から、

 あなたは立ち直ったのではない、、

 あなたは、

 複数の時間を持ち、

 それらが、

 よく見えてきたというのだ、、

 あなたのその声のなかに、

 住んでいるものはなに、、

 あなたの正面に、

 次々に生まれているものはなに、、

 ひとつのさわぎをなして、

 からだばかり育ち、、

 上手く呼吸する、

 あなたの複数時間の、、

 そのさなかへ、

 まっすぐに戻っていく、、

 

 まっすぐに身体が語ってくれる、、

 正面に、

 あなたの声が立って、

 壁にぶつかる、

 粒が、

 泡立ってゆく、、

 泡から世界、

 世界をみること、、

 まったく白くやかれた肌が、

 フィルムになり、

 あたしの層を少しずつ形作る、、

 あたしは呼吸がその、

 幾量枚のフィルムを通過し、、

 今、

 声に住んでいるものの身体のいくらかを、

 確かめ得たのです、、

 水も少しください、、

 あたしが記憶を招んでいるとき、、

 水はしずかに底の方へおりていく、、

 今も知らない、

 ひとつのはなやかさになって、

 水の下へおりていく、、

 あなたの粘性、

 あなたの声の態度、、

 あなたは、

 からだからはじめた、

 このいくつもの語らいを、、

 包み込む、、

 

 景色は、いまや、、

 しずかな液となり、

 十分に、

 秒の私のなかへ浸透したあと、、

 きれいに姿を消してしまった、、

 あとに残された私は、

 少しさびしい、、

 あなたは思い出している、、

 少しまだ、新しかったこと、、

 からだを、なかへ挟んで・・・