<2901>「『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』」

 アマプラにて。

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 映画を見ていて一番興味深かったのが、

 「チャーチルの素質や能力をよく見極め、その力量を一番認めていたのは、英国の仲間ではなく、敵であるヒトラーその人であった」

ということだ。

 

 チャーチルは過去に大きな失敗を犯していることもあり、あまり議会の面々からは良い評価を受けていない。

 普段は酒ばかりのみ、感情を露わにし、周りの人を怯えさせている。

 とてもリーダーとしての器にあるようには思えない。

 

 ハリファックス卿やチェンバレンには完全に見限られており、いつ失脚してもおかしくないように見える。

 

 しかし、まさに敵であるはずのヒトラーが、正確に言えばヒトラーの、チャーチルに対する評価が、流れを変える。

 あいつは、ヒトラーが、おそれるほどの男だと。

 

 

 歴史上の、片や英雄、片や大悪党。

 ただ、チャーチルとヒトラーは、人間的にすごく近いところにある二人だというような気がした。

 

 いつも怯えていて、震えていて。

 そして、徹底的に言葉や、演説にこだわっていて。

 その怯え、言葉へのこだわりの両方から生み出される、扇情的な語りは、人々を動かす力を持っていて・・・。

 

 どこか精神的に通ずるところがなければ、ヒトラーは、この、チャーチルという人の持つ凄みを正確に掴むことはできなかったのではないか。

 

 リーダーを選ぶ営みというのは不思議なものだなと思う。

 誰もが認め、この人ならと皆が思える人が、通常はリーダーになる。

 しかし、リーダーに相応しい人が当たり前にリーダーに選ばれるという過程に、時々、人々は疑問を持つ。選ばれようとしている当人ですら何かしらの違和感を抱く。

 

 そういうときに、どこから出たのか分からない、異形の姿をした人間がやってくる。

 誰よりも大きな不安を抱えて。