<2896>「秒の私のなかへ、染み通る」

 ひとつの悲しい方法から、

 あなたは立ち直ったのではない、、

 あなたは、

 複数の時間を持ち、

 それらが、

 よく見えてきたというのだ、、

 あなたのその声のなかに、

 住んでいるものはなに、、

 あなたの正面に、

 次々に生まれているものはなに、、

 ひとつのさわぎをなして、

 からだばかり育ち、、

 上手く呼吸する、

 あなたの複数時間の、、

 そのさなかへ、

 まっすぐに戻っていく、、

 

 まっすぐに身体が語ってくれる、、

 正面に、

 あなたの声が立って、

 壁にぶつかる、

 粒が、

 泡立ってゆく、、

 泡から世界、

 世界をみること、、

 まったく白くやかれた肌が、

 フィルムになり、

 あたしの層を少しずつ形作る、、

 あたしは呼吸がその、

 幾量枚のフィルムを通過し、、

 今、

 声に住んでいるものの身体のいくらかを、

 確かめ得たのです、、

 水も少しください、、

 あたしが記憶を招んでいるとき、、

 水はしずかに底の方へおりていく、、

 今も知らない、

 ひとつのはなやかさになって、

 水の下へおりていく、、

 あなたの粘性、

 あなたの声の態度、、

 あなたは、

 からだからはじめた、

 このいくつもの語らいを、、

 包み込む、、

 

 景色は、いまや、、

 しずかな液となり、

 十分に、

 秒の私のなかへ浸透したあと、、

 きれいに姿を消してしまった、、

 あとに残された私は、

 少しさびしい、、

 あなたは思い出している、、

 少しまだ、新しかったこと、、

 からだを、なかへ挟んで・・・