<2009>「声のなかの膜に」

 あ、ひとつも声がしない場所に着いたな、、

 私は、ここの空気の冷たさに、

 静かに肌を付けて、、

 生まれるためには、静かに、ひとり、

 黙っている必要がある、、

 私はそこからどうしたって穴、、

 どうしたってヒの届かないところへ、

 視線をやった、、

 あたしは混じるのではない、、

 バラバラに続く声を、ここで、、

 きいている、、

 私は生まれたてなのではない、、

 蒸気が溜まる、、

 この冷たい零の風景のなかに、

 私は書き込む、、

 ただ音となったあなたの時間時を、書き込む、、

 どこから来た、、

 私は肌として生まれる、

 全ての音がきこえる、、

 途上で無になる、

 無がホウと鳴る、、

 

 あたしのこのジ、に付き合うことを仕事にした、、

 それはなんだろうか、、

 あたしはあなたの声がききたいと願っている人ではない、、

 きこえても、

 あアそうか、と思うだけだろう、、

 なにだろう、、

 私は何十年か振りに、知っている人に会っても、、

 全く驚かないような気がする、、

 どこかで会うと確信しているからなのか、

 不思議なことがなにひとつないからなのかは、分からない、、

 私は砂を手につけていないと思った、、

 私はひやりとした時間をきいているだけ、

 ここに縦で浮いているだけ、、

 その空間に対する振動器になっているだけだと思う、、

 

 あなたが今日展開したものを、

 上手に畳み込んで、、

 その色は濃くなり、、

 私はまたそのかげにかえる、、

 あ、はてのない声がする、

 声にはてがなくなれば、それはうめき、、

 それは塊、、

 流れが出来てはまた重なってきこえはじめ、、

 私はサインをする、

 私は声のなかの膜に身体を張り合わせる、、

 まとまってきこえるか、、

 いや、この忘音はどうだ、、

 あたしはただはてからこぼれてきただけだから、、

 戸惑いを大いに持っている、

 どこから来るのかもしらないまま、、

 ここに、渦を持っている、

 たくみな仕方だな、お前も、、

 私ははしゃぐとしても、

 内へ内へ、ひたすらに漏れていく仕方としてだけだ・・・