<345>「人と法則」

 そこにシステムを見ることが出来るだけであって、システムそのものがそこに存在している訳ではない。それをごっちゃにして、システム通りに動かないのはおかしい、その通りに動くよう努力しなければならないという話になると、何かおかしくなっていく。どう動くのかは基本的に自由であり、痕跡の数々を勝手に結びつけて作っているシステム、そこに無理やり見ているシステムに合わせなければいけない理由などない。勝手に見ているシステムを勝手に不変のものだと思い込んで、人間の方がそこから、「誤って」ズレていっているように考えるのは、物の見方としてはマズいと言わざるを得ない。まず人間が各々、目的を持って、あるいはなんとなく動くという事実が前にあり、その痕跡を追ってみると、どうやらこういう法則があるらしいと判断するのが後にあるので、それは前にもならないし中心にもならないのである。何か在るべきところから「ズレて」動いている訳ではないのだ。