<346>「枝分かれ」

 分かれてゆく。一体の中心となったらここはどこなんだ? 考えたこともない者どもの尋常な視線を受けて緩やかに方向が変わっていく。それが先だ。俺をここから追いかけているのは誰だ。分裂の空中、優しげな笑みを差し、翻りつつ昇っていく。ぶざまにあちらとこちらとが決まっていき、息を切らし、細い細い枝の先で始まったものは想像を超えていたのだろうか、否、想像というものの及びもつかないところで新たにまた分かれてゆくのだと言ってもいいだろう。観察不足だ。分かれてゆくままにまた任せたとしてそれはここで見極めるべきことでもあるかのようなふりをしている。もう少し帰ってみよう、何かがひとつのものを作っているのだから。まあ、先の先まで行ってみたとして、そこにひとつのものすら無くなってしまうかと言えばそうとも言えないのだ。