<2405>「『第1回京都こころ会議シンポジウム』の中沢さんの講演」

 

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 動画自体は2017年のものですが、最近見た動画のなかでぶっちぎりで面白かったので紹介を。

 詳しくは全編を見てもらえるとわかるのですが、簡単にまとめると、

 

 中沢さんは心と物のかかわりについてずっと考え続けている。

 どうにしかして心と物を統一的に考えたいと思っている。

 心は脳という物質の働きで生まれるのに、心には物質過程には還元できない部分がある。

 だから心と物質はバラバラに扱われてきた。

 しかしそれをバラバラに扱うのではなく、統一的に扱えるはずだと思っている。

 ではどうやって心に接近するか。

 それには心と物質とで同じところ、違うところを見極める必要があるだろう。

 

 心と物質(神経系)で同じ部分

  ①ブリコラージュをする

  ・既にあるものの組み合わせで新しいものを作る。神話のあり方などもそう。

  ・脳だけでなく遺伝子のレベルでもブリコラージュの原理が働いている。

 

 *こういった問題について考えている重要な著作

  1 クロード・レヴィ=ストロース『野生の思考』

  2 F.A. ハイエク 『感覚秩序』

 

  ②馴化作用を持つ 慣れる。

  ・神経系は同じパターンに慣れて、カテゴリー化し、細かい部分を無視するように    

   なる。知覚の世界は脳の助けなしにカテゴリー化を行っている。

  ・同じものを無視していくこの方法、カテゴリー化を行うのは、心においても全く 

   同じ。

  ・人間は健忘によって人間たり得ている(記憶の実現のためには忘却が必須)。

  ・人間の言語はメタファーやメトニミーによって成り立っている。つまり意味を

   重ねたりずらしたりという方法が無意識の場所で行われている。

 

  ③零空間を持つ(ホモロジーとして動いている)

  ・同一パターンを無にし、見ないものとして扱う零空間を持っている。それが

   土台になっている。神経系も心も。

  ・脳の内部、神経組織のなかに零空間(認識しないでおく)を持っている。

 

 心と物質(神経系)で違う部分

  ①零空間に内部構造を認めるか否か

   ・物質はゼロイチで考える。心は零空間のなかに内部構造を認める。

   ・零空間を通して意味の変容を起こす。これは心だけが行う。

   ・仏教が、この世界の根源は空であると認識したことと同じ。

   ・空には、何も生産しない空(ゼロイチ)と、無限の生産を行う空がある

    (意味の生成、変容を起こす)という仏教の見方がある。

   *しかし重要なのは、無限の生産を行う空も、物質の生成過程によって生み出

    されているということ。ゆえに、全く違う性質であっても統一的に考える方法 

    がどこかにあるはずという冒頭で出た結論へ。(素粒子の場というようなもの

    が重要?)

 

 これから、『心はこうして創られる』を読みたいと思っているんですが、何か絡み合ってきそうだなあという感じがしますね。