動画自体は2017年のものですが、最近見た動画のなかでぶっちぎりで面白かったので紹介を。
詳しくは全編を見てもらえるとわかるのですが、簡単にまとめると、
中沢さんは心と物のかかわりについてずっと考え続けている。
どうにしかして心と物を統一的に考えたいと思っている。
心は脳という物質の働きで生まれるのに、心には物質過程には還元できない部分がある。
だから心と物質はバラバラに扱われてきた。
しかしそれをバラバラに扱うのではなく、統一的に扱えるはずだと思っている。
ではどうやって心に接近するか。
それには心と物質とで同じところ、違うところを見極める必要があるだろう。
心と物質(神経系)で同じ部分
①ブリコラージュをする
・既にあるものの組み合わせで新しいものを作る。神話のあり方などもそう。
・脳だけでなく遺伝子のレベルでもブリコラージュの原理が働いている。
*こういった問題について考えている重要な著作
1 クロード・レヴィ=ストロース『野生の思考』
2 F.A. ハイエク 『感覚秩序』
②馴化作用を持つ 慣れる。
・神経系は同じパターンに慣れて、カテゴリー化し、細かい部分を無視するように
なる。知覚の世界は脳の助けなしにカテゴリー化を行っている。
・同じものを無視していくこの方法、カテゴリー化を行うのは、心においても全く
同じ。
・人間は健忘によって人間たり得ている(記憶の実現のためには忘却が必須)。
・人間の言語はメタファーやメトニミーによって成り立っている。つまり意味を
重ねたりずらしたりという方法が無意識の場所で行われている。
③零空間を持つ(ホモロジーとして動いている)
・同一パターンを無にし、見ないものとして扱う零空間を持っている。それが
土台になっている。神経系も心も。
・脳の内部、神経組織のなかに零空間(認識しないでおく)を持っている。
心と物質(神経系)で違う部分
①零空間に内部構造を認めるか否か
・物質はゼロイチで考える。心は零空間のなかに内部構造を認める。
・零空間を通して意味の変容を起こす。これは心だけが行う。
・仏教が、この世界の根源は空であると認識したことと同じ。
・空には、何も生産しない空(ゼロイチ)と、無限の生産を行う空がある
(意味の生成、変容を起こす)という仏教の見方がある。
*しかし重要なのは、無限の生産を行う空も、物質の生成過程によって生み出
されているということ。ゆえに、全く違う性質であっても統一的に考える方法
がどこかにあるはずという冒頭で出た結論へ。(素粒子の場というようなもの
が重要?)
これから、『心はこうして創られる』を読みたいと思っているんですが、何か絡み合ってきそうだなあという感じがしますね。