2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧

<159>「怒りに翻弄される」

何かのきっかけで、どこからか怒りが湧き起こり、激流となって荒々しい渦を巻く。カーッと来てるものと一体になるようなところもありながら、主に翻弄され、戸惑っている。こういうとき、いつも不思議な思いをする。翻弄されるなんておかしいではないか? い…

<158>「流れていく」

動かない人物像があるという仮定あるいは思い込みからスタートすれば、その人の本当の姿とはどれかというのを探ることになる。そして、よりショックの大きいもの、印象の強いもの、探る人が最初からそうだと思い込みたかったイメージに合致するものを、その…

<157>「核心は」

凡そあらゆる人の中で、最も周りに流されやすい、自分の考えを持っていないように見える人でさえ、動かされたくない領域というものを必ず持っていると思っている。それは当人が自覚していることもあるし、ほとんど無自覚なこともある。尤も、どんな人を取っ…

<156>「時間の相違」

椅子にじいっと深く沈み込む老人を前にして、自身の時間の進みが速いことに翻弄されそうになる。半日と言っていいほどの長い時間を一緒に過ごし、取り立てて何をする訳でもない空間には二度だけ食事が並んだ。本はない、テレビは映る、どこかに出掛けるとい…

<155>「単調さのなかへ」

飽きさせないものが飽きるものに姿を変えてしまうことほど耐え難いことはない。何故かは知らないが、全てのものは日常性をもたらされる運命にあるらしい。つまり、目先を派手に次々と変えていっても、必ずそれは一定のリズムに捕まる。それ自体(あっちこっ…

<154>「根本問題」

散々問われているからこの問題はもう終わり、問うても仕方ないし、問うならば違うところを問わなきゃ、で動いていこうがどうしようが、その散々に問われた根本の根本が、依然として切実なものであり続けていることは変わらない。先にいろいろな人が問うてい…

<153>「便宜と把握」

何でもこれひとつで説明できる、うん、様々な要素からその分野で使えるものだけを取り出して、記号(言葉もそう)に置き換えていけば、あらゆる領域のことを、それひとつでとりあえずは説明出来るようになるだろう。故にこれを究めれば、全部のことが分かっ…

<152>「社会と説明」

社会とは説明である。もう少し言えば、社会内の個であることは説明の努力によって保証されている。逆に言えば説明に縛られる。これは非常に萎えることだが、まあ、やらない訳にはいかない。これに萎えているのはおそらく私だけではないだろうと思われるのは…

<151>「平和でいいねえ」

平和も危機である。それは全く穏やかな状態というのに耐えられない部分が少なからず誰しもにあるからだ、というようなことを以前書いたが、穏やかな状態というのに何となく我慢ならないところがあることと並行して、強烈な経験と、「本当」という観念とがあ…

<150>「なんか嫌いらしいなあ」

嫌いだ、ということを大した事件だと考えるから、変に繋げようとして状況を悪化させたり、そのままに留まることを何か大変悪いことのように考えたりしてドギマギするのではないか。嫌いが発生してくるところを観察するというか、考えてみると、実に何でもな…

<149>「著しく不自由と、そうでもない不自由」

著しく不自由な状態と、そうでもない状態とがあって、大体はそのふたつに分けられるのではないかと思っている。ここで自由、本当に自由な状態というのはないのかという問題があり、私は、そういうものは想像の中だけにしか存在しないと考えている。あるいは…

<148>「持っていないものを、奪われる」

何かが奪われるという感じが伴う。決して私が持っていた訳ではなかったのだが。何かが奪われた、その人も自分で持っていた訳ではなかったのだが。所有していないものを奪われるはずがないだろう、つまり何も奪われやしなかったということなんだよ、と言って…

<147>「黄金餅、現実的でないもの」

現実感のないもの(現実にないものではなく)は、いくら集めても満足できないし、不安もなくならない。だから、あんなに沢山集めておかしいのじゃないかと言っても仕方がない、おかしいのは本人だって分かっているはずだ、しかし訳も分からないほど集めない…

<146>「ある空白の一点から」

ステップアップの考え方に立てば、次第に経験は強度を増したものになっていくべきだし、濃い経験をして、またより濃い経験をして、という進み方をして、完全なゴールではないにしろ、ある程度の段階にまで達することが望ましい、というようになっていくから…

<145>「記憶に関する強迫観念」

記憶に対する強迫観念みたいなものがあり、ついつい憶えすぎようとしてしまい(つまりいつでも沢山のことを想起出来るようにしておこうとする)、勝手に辛くなっていることがある。それはどこかの番組で見たことから始まったのかもしれないし、何かの文を読…

<144>「込めているものは同じか」

言葉を使うということ、同じ言語を使用しているということが、逆に異質さをハッキリと浮き上がらせる。到達したい方向、最初から決めてかかっていることが各々で違っていても、言葉の上だけでは巧みに議論が展開されているように見え、ちゃんとどこか共通の…

<143>「もう少し奥まで」

この人は一体何者なんだ、それはお前、豆腐屋のオヤジじゃねえか、極端なことを言えば、いや、言わなくてもそれでいいのであって、皮肉ではなく、こういう判断をスパッと出来る人が一番鋭いと思っている。あっちへ行って情報を集めこっちへいって情報を集め…

<142>「欠落感の自然」

全部は見えないはずの自分が、鏡や記録映像や画像によって眼前に現れる、しかしそれがいくら鮮明であっても、リアリティが感じられても、肉感を持った存在、肉体というものが現にここにあるように感じられる存在として私の目に映る訳ではないから、そういっ…

<141>「もし目が飛び出ていたら」

少々化物じみた表現になるが、例えばもし人間の目玉が、虫の触角のように、眼窩からいくらか伸びた線の先にくっついていて、ひねりを加えさえすればその先っぽについた目玉は、360度どこでも見渡せるようになっていたとすると、鏡の役割を為すものを介さ…

<140>「風景ではないという不安」

どこに行っても自分だけが本当ではない気がするのは、目の付き方、その方向が問題だという気がしている。つまり、結局それは誰でもそうなのだが、自分以外の人の目は全てこちらに向かうことが出来、自分の目だけがこちらに向かうことが出来ない、というとこ…

<139>「途方に暮れるという時間」

途方に暮れていた人、終始途方に暮れ続けた人を笑えないと書いた、それは自分の似姿だ、いや、自分よりも自分自身であったのかもしれない。与えられたものに対して、こちらも積極的に答え(応え)を付与していく、何かを見出していくことこそ生きるという作…

<138>「ないなりのものは拡がり」

ないものをこねくり回す、それが嫌だと言ったって、もちろん程度の問題はあるだろうが、こねくり回せる確かなものというのはないのであって、ないものをそれなりに、こねくり回していくしかないのではないか(こねくり回すとすれば)、というのはまさに『か…

<137>「どうしても生じる隙間」

困惑していると、ひとつポーンと投げてしまえば良いのではないだろうか? 食べ放題のように、元を取ろうと奮闘するものとして生が現れてきたことがないというか、そういうものに見えてきたことがない。折角とかの言葉と生がどうしても結びつかない(「折角生…

<136>「穴へ消える」

今の現実を現実だと思わせない、あれは錯覚だったのだと思わせることでしか組み込むことが出来ない、これはまずいだろうと思うが、それは方法がまずいから方法さえ何とかすればという話ではなくて、そのまずさは根本条件であるから仕方がない。そうすると、…

<135>「あまりに現実過ぎる(ちょっとしばらく点けておこうか・・・)」

電源ボタンを押すと、テレビだとか音楽プレイヤーだとかが一瞬で切れる、この寂しさ、現実感の物凄さというのはちょっとほかにない、一番現実らしい現実に思える。であるから、つまんないなあと、飽きたなあと点けているときに思っていた場合ですら、消すこ…

<134>「混乱と狂気」

破れかぶれも、行き過ぎると普通になる(見える)、以前混乱の極まりを書いたことにも通じる。しかしまあ、「普通になる」というのは普通ではない訳で、「知ったこっちゃあない」と思いながら、何事もなかったかのように動いているのは正気の沙汰ではないの…

<133>「存在の穴と目が合った」

どこの誰だか分からない男と目が合った、座っている、しかしどこにいるのか分からない。飲み込まれないためには中心に向かわなければならない、しかし、中心に至るまでの道は厳しい、何より流れが急だ、遠ざかるのは脱落への道ではない、より大きな流れに巻…

<132>「不可能性の豊かさ」

何かの立場に立って語ることはつまりパターンの習得だから、習得の早い遅いはあれど、それ自体は別に特別凄いことでもない、考えることとも逆の作業だ。何にも分かっていなくともスラスラと延々に喋ることが出来る。そういうパターンの習得(それはどこに行…

<131>「圧倒されるときはされる」

荒さと無関心、というよりは深い落着き、そういうものの同居する中で、普段は全く荒さの影響というものが感じられないところから(あるにはあるのだけれど)、何処まで行っても何があっても、項垂れるにせよ、激流に飲み込まれずにいられる、というよりそん…

<130>「気づかない方がいいが・・・」

気付かない方が遠くまで歩ける、でも全く気付かない訳にはいかない、歩けなくなってしまう。であるから、気付かないでいるという「意識」を持たなければならない。それは、何か靄のなかにいるような気持ちだ、歩いていることが不思議になる、いや、歩いてい…