動かない人物像があるという仮定あるいは思い込みからスタートすれば、その人の本当の姿とはどれかというのを探ることになる。そして、よりショックの大きいもの、印象の強いもの、探る人が最初からそうだと思い込みたかったイメージに合致するものを、その人の本当の姿だと決めていく。当然その決めつけは人によって差が出来るから、
「あの人は実はこんな人なんですよ」
という誰かの決めつけに対し、
「いやいやあの人はそんなんじゃないよ。もっと良い人です。勝手に決めつけないでほしいなあ」
と、また違う人が決めつけで返す。これが不毛であることは言うまでもないだろう。どうして揺れ動くことを認めないのか。交わる人との相互作用で、また一瞬々々変わっていくこと、印象を固定しようとする動きをことごとく裏切る流れであることを。