<133>「存在の穴と目が合った」

 どこの誰だか分からない男と目が合った、座っている、しかしどこにいるのか分からない。飲み込まれないためには中心に向かわなければならない、しかし、中心に至るまでの道は厳しい、何より流れが急だ、遠ざかるのは脱落への道ではない、より大きな流れに巻き込まれることになる。それは用意された型か、その羅列、あなたが言いたいことと混ざり合っていやしないか。紛らすことが確かまずいことだと誰かに教わった、いや、教わってはいない、最初から知っていたのか、退屈を紛らすことが退屈になり、紛らわされなくなったそれは何かであることをやめ、ただの曖昧な重さになったのだった、退屈なのか否か、退屈とは何かをほとんど見失った。何もないところに辿り着くとはおかしなことだ、辿り着くのならば何かがあるではないか、穴であるはずのものがどこにあるのか、いや、どこにないのかの見当がつくだろうか?それなら、誰と目が合ったのだろう・・・?