2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧

夕暮れの延長

電球の光がやけに濃くなるのを感じ、あんまり夢中になって長いことここに座っていたことに思いを致す。夕日は、急くようにその姿を消そうと努め、暖かい色だけが周囲を強く照らそうとしているように思われた。 もうカーテンを引いてしまおうと考え、明りも、…

佇む人

部屋の空気がムッとする。左半分を網戸にして換気を試みようと窓に近づくと、誰かが窓の外にしゃがみこんでいるのが見えた。不思議と恐怖は感じられず、むしろ進んで窓を開け、その人の横で同じようにしゃがみこんでみようとした。 「おじさん」 「えっ?」 …

トロッコ

トロッコに乗り込むと、ガタピシガタピシ揺れながら、暗いトンネルの中へと進んでいく。 「うわあ・・・どこに行くんだろう? すごいねえ!」 周りの人に話しかけたつもりだったが、ひとりだけでは勿体ないと思われるスペースに、在るのはただ私ひとりだった…

反応しなきゃいけないような

何と言う程でもない集まりで、誰かが相手を定めず、ポンっと言葉を吐く。自分と定められた訳じゃないから、皆放っておいて平気でいる。吐いた方も、独り言というように転んだらそれはそれで大丈夫でさあ、といった顔つきでいる。 それならそのままそうしとき…

浅い部分で受け容れないところから

尤も、深い部分では抗いようがない、否定しようがないのだが、浅い部分では、 「まさか死ぬ訳ない」 と思っていないと、自分を保てないところがあるのだろう。 そして、そういう浅い部分で死を受け容れないところから、諸々の不安や悩みが起こってくるのでは…

記憶

思い出すことが難しくなったりするだけで、人は、全ての出来事をきちんと記憶している、という話を聞いたことがある。 なるほど、もうとっくに忘れていると思っていたことを、あるときいきなり鮮明に思い出したりすることがあるから、その話も尤もなんだと思…

誰に話しかけるともなく

特定の誰かを捉まえるのではなく、誰に話しかけるともなく話す方が、話自体を長く続けることが出来るというのも、よく考えてみれば不思議なことではある。 おそらく聴衆の方でも、代表して自分ひとりが聞かなければいけないとなると、自身の反応ひとつひとつ…

モデルを作ってそれを全体に押し広げると必ず間違う

ひとりひとりが、自身の1番幸せな状態だとか、快適になる条件だとかを見極めるために自問自答することは大事だと思う。反対に、何が出来ていない状態を悲惨と見るのかも。 しかし、そこから出た個人的な結論や、とりあえずの答えを全体へと押し広げて、他の…

世間の代表のような顔

ああ、今、世間の代表のような顔をしてしまった。気をつけていたのに。自分個人の問題を棚上げにして、まるで世間そのものででもあるかのようなふりをしている、その醜い表情。 ああ、あなたまでそんな醜い顔をしないでくれ。きっと私のがうつったんだろう。…

距離感の失敗

種々諸々の、対人関係の問題というものがあるように、 「思われて」 いるが、突き詰めるところ結局、そこには、 「距離感の失敗」 があるだけだと思うようになってきている。 つまり、解決されるべき何かしら具体的な問題があって、それでもって人間関係がギ…

ソノホームラン

熱心に野球中継を見ている。たまにホームランが出るとアナウンサーが、 「ソ○ホームラン!」 と叫んでいる。・・・初めが、 「ソ」 であることに間違いはないのだが、その後は何と言っているのだろう・・・? 何回も聞いているうち、分からないなりに、 「あ…

他人に拠って起こるけれども、他人には関係がない

逐一好きかどうかを確認していないと関係が維持できないのは、好きという気持ちを感じる力が弱いからなのか、強いからなのか。 もし、しっかりと相手の気持ちを感じることが出来ていたら、いちいち確認する必要が無くなるだろうから、やはり、そんな面倒なこ…

電車

電車で、片道1時間ぐらいかけて美術館に行くつもりだったが、7人掛けの座席の端っこに腰掛けたときには、もうその意欲を失っていた。 まあ、そのまま乗っていれば、そのうち行く気を取り戻すかもしれないし、嫌ならそのまま引き返せばいいか、特に何かの予…

カレンダー

部屋の隅っこに、わりかし大きなカレンダーが懸かっている。カレンダーの役目を果たしているのは下半分だけで、上半分にはどこかの風景写真が大胆に印刷されている。 どこか外国の、鉄道が通う郊外の風景のようだ。長閑さを直に耳元へと響かしてくる風景に、…

含み笑いもする人

この、大きなエレベーターに、私だけが唯ひとり乗っているなどということはそうそうない。しかし、その瞬間に見事に潜り込み、含み笑いする人はやってくる。 「あっ・・・」 そんなに怯えた顔で迎えないで、と言わんばかり、私の目をしかと見据えている。そ…

発作、癇癪

誰しも表面には現れない大きな傷口のようなものを持っていて、それを誰かに触れられるともなく触れられると、発作、癇癪を起こすようになっているのだと思う。俗に言う、 「地雷を踏む」 というようなものだと思うが、他人のそれは、一度確認出来てしまえば…

処分に困った末の贈り物

予め、 「この人に是非贈りたい」 と思ってくれていたのならともかく、所有者が明らかに処分に困った末に、押しつけるようにして何かをこちらへ渡してくるというようなことが近頃立て続けに起こったのだが、こういった、 「処分に困った末の贈り物」 ほど厄…

彼との関係を択んだほうが良い

女の人に対してはどうも甘い所があって、それは何でも許せるという意味ではなくて、人物判断を行うときに、知らず女の人の場合は2~3割増しで良い方へと判断してしまうということだ。その人に対する悪い評判を伝えられても、 「まあそれは一面であって、実…

無心という観念をいじくり回す

本当にボーっとすることは難しく(そもそもその瞬間は自分で気づけない)、大体、 「今ボーっと出来ているかも」 と思っているときはただ、無心という観念をいじくり回しているだけだったりする。 こういうことを反省するのは、無心になれていると思っている…

良い悪いを決めない、目標に据えない

良い人であろうとすること、良い人になっていくというのを目標に据えることは、潔癖を生むからあまりやらない方がいいと思うようになっている。 良いとか悪いとかいうものは非常に曖昧で、馬鹿にかっきり2つに分けられるものでもない。そこへきて、 「良い…

嘆き、嘆息に触れる

私のように、社会との関わりをごく狭く限定している者であっても、生きていれば様々な人の嘆きや悲しみの声に触れることになる。しかし一方言葉というのは不思議なもので、例えば、本当に悲しいとは思っていなくとも、 「悲しいなあ・・・」 と言うことが出…

長くなりそうだから、やめとくか

どうも端っから直接打ち込むのが性に合わなかったので、一旦紙に書いてからという順番にしているのだが、そうすると、せっかくひとつぶわあーっと書いてしまおうと思っていたことを、 「長くなりすぎると、後で打ち込むのが面倒だから、この話はやめておこう…

遊びの存在感は増していく、はず・・・

どうしても、子ども時代と比べると、遊ぶのが下手になったということを思わざるを得ない。下手になったとはどういうことかと言うと、それは別に、遊びの内容、種類が貧弱になったということではなく、遊びというひとつの在り方に対する、準備体制の盤石さが…

長く生きれば生きるほど、理に適わない

効率だとかリスク、かかるコストなど、突き詰めて考えていけば一刻も早く死ぬに越したことはない訳で、それを思えば、生の歩みを一歩、また一歩と進めていくのはいかにも不合理なことだと言えるかもしれない。 さっさと死んでしまうことほど合理的なことはな…

気がつく範囲、方向

以前どこかで、気の使えない人というのは厳密にはいないんだ、ということを書いたが、遡ってどこでそれを書いたかを確かめるのが億劫なので、そういうことを確かに書いたはずだという前提のもとで、先へと進みたい。 世で言うところの気を使えるだとか使えな…

こちらから手を切れるような問題なのかどうか

女性問題というものを想定したときに、自身の頭には、自身が成熟するか否かしかないことが露呈してしまった訳だが、そうするともはや私の中に、女性というものは存在しないのであろうか。もはや、というよりもともと存在しないのだろうか。 しかも、成熟とい…

自身の成熟のために他人を利用する

以前に『うぶ』という題で書いたように、自身でも、成熟に関わるのは女性問題なのだと感じているし、また、そういったことを人様が書いているところもよく目にする。 それは別に良い。だが、人を愛せない以上、女性問題を解決しようと躍起になることは、 「…

安らかな自殺

生きるという活動に、休みがないことにうんざりすることがある。それはつまり、日常で言うところの休暇がないということではなく、生きるという活動が、死以外に停止のタイミングを持っていないということを指している。肉体的には疲れていなくても、これら…

経験する前にある程度分からないとしょうがないのではないか

何事も経験が大事。経験に勝るものはない。もちろん、ある場合はそれで正しい、その通りだとなるだろう。しかし、 「何事も」 経験してみなければ分からないほど、理性の堕落した状態というのもないのではないか。つまり、 「経験する前にある程度は分かる力…

去る

「お久しぶり」 おどけたつもりで丁寧な挨拶を施すと、その人は、なにか私の顔に焦点が合わせられないというような表情をしていた。 ほら、あのときの、あすこに行ったときは、あんなことがありましたね、などと話を並べると、その人は、 「ああ・・・」 と…