誰しも表面には現れない大きな傷口のようなものを持っていて、それを誰かに触れられるともなく触れられると、発作、癇癪を起こすようになっているのだと思う。俗に言う、
「地雷を踏む」
というようなものだと思うが、他人のそれは、一度確認出来てしまえば認識が容易になる。
だが、これが自分のこととなると、何度踏まれても、
「傷口を踏まれたから大きな癇癪を起こしたのだ」
ということになかなか気づけなかったりする。
「私は別に、怒るべきことに対して普通に怒っただけだ」
と考えてしまい、傷口を踏まれたがために、傍から見ればほんの些細なことで大きな癇癪を起こしてしまったのだということに、まるで思いが及ばないのだ。
それで、その見えない傷口というのはおそらく幾か所かあると思うのだが、そのうちの1か所は確実に、
「家族」
に関係するところなのだということに気がついた。これは、まさに思うがままに発作的にそのことを沢山書いてきたことからも窺える。ここに傷口を持たない人は、家族というものにさしたる苦いイメージを持っておらず、
「温かな家庭」
というものが、狂った希望のようにしか見えないのは、周りの人が本当に狂っているという訳ではなく、自分がここに癇癪を持っているだけなのだということがハッキリと分かってきつつある。