まだあどけない身(ミ)、
ひとの姿を縒り、ゆくあてはただ裂けている。
歓声と歓声、して溜め息、ひとはまた拾い、
高濃度のさけび声、
高濃度のざわめき、
幕間(まくま)に果てしなく、声の駆ける・・・、
君はけむたがり、ただ足元を見る、歩(フ)、歩(フ)、なら、歩む、歩む。
ひとの声の棲むなかを僅かにうつむきながら歩いてゆく、
駆けてすぐにまどろみ、
触れてすぐに溶け出す、
音(おと)は正しい、あなたのいきどおりの、地面にただ伝わっていない、しかしあなたの踏み足は、感情線の枠外にあった、
うつむきのしたにあなたがいること、
うつむきのしたにあなたはいそうだ、
ものがイソウガイの滂沱にさらされて、
ものはわたしを涙と混同したそうだ、
ひとの皮膚に意味が鳴り、わたくしも涙もどこか違うところへ、音(おと)もなくすべりさってゆく・・・、
過去無量のなけなしのひと声、
過去無量のなけなしの語らい、
転がり出でて、見事に縒られた姿、それは誰の目にも眩しい。
足早に閉じる扉、そこへ小さくしゃがみ込み、ひたすらに腕を振るう、