<946>「次の砂を踏む」

 日(ヒ)はさくと触れる。

 お前もよろしく、お前もよろしく、

 ただのいちほにも流る、

 流る、しばらくすみ、流る、

 ただのいちほに静かに寄り添うとき、

 お前はいない、お前はいない、

 窓枠がずれ、思わず風、

 あたしの知らぬ、

 あたしは裸(はだか)のままのいちほについてゆく、

 外はまだるこしい、

 うちがわからは突(トツ)、まったき風、

 ひとのいない風、

 ゆくえのないもの、

 わたしは見ていないのに、

 震えていた、かけがえのないまばゆさに、

 あたしはひとミリを好きだ、

 好きだもんだからひとミリなのに、

 その、いちほはひとミリなのだ、

 わたしがするりと抜けている、

 そのくせ、あとは風を名前にする、そのくせ、笑って上昇する、

 まだ、あなたには見えている、

 それは引き続き、またのまたのいちほ、

 あたしは触れ、あたしはひらき、つかのま伸び去る・・・、

 気まぐれが明日(あす)をまたいちほにし、ゆるやかに。