<961>「あなたの喉が記憶の役目をすること、」

 夕枯(ゆふが)れ、

 きりのない、、

 あるいは街路の自然から、、

 のちの呼気の湧き出す、

 ただ慰めに追いかけた一言(ひとこと)の、ただ潤(うるお)はす、

 はずれて、、

 からの息のなか、、

 あなたを見つめる、

 あなたが弾む、

 ひとの一切、、

 隠れたえくぼ、

 不埒なヒ、橙のヒが、ただわけもなくぶつかっている、、

 それですくと立つ、

 それですくと立つ、

 新しいひらたさ、

 わたしの音(おと)が、際限もなくのびてゆくような、、

 なにに、

 なににとりつかれて、あなたのもとへいつのまに、、

 いつのまに来たりて

 声になにや、

 声はいかほどのものを混ぜ、わたしに触(ふ)るるや、

 あなや、、

 さわりさわり、

 ひとは近づく、、

 あなたの喉が記憶の役目をすること、

 それから、、

 わけても魅惑な、あの胴の震え、、

 胴間声、

 過去素顔のささやき、、

 あらたなまま、

 まだあらたなまま、

 まだみ、たまう、

 わずかな裂け目、

 触(ふ)れ、出で、来、き、こよい、

 さわぐ、、

 過去幾たびのよろめき、

 わたしは声をまぜかえす、、

 ただの日の照りや、その枯れてゆく姿、過度の草の匂いなどに身(ミ)を沿わせ、あるいは声としてのび、、

 くわえた息をさっと握る・・・