<938>「蓋が踊る、緑は謳歌する」

 猛然と過ぐ。途方もない眺めを意図したあなた。

 けわいの底に隠れてい・・・、シンボルは鳴る、鳴る、鳴る。

 中途へあなたが香り、ひとが喰らいつく。

 わたしは新しい膜を過ぎ、ふらつき、ようやく息を継ぐ。

 そのままの明かり、にひとつの焦がれ。

 そのままの怠惰。そのままの出合い。

 蓋が踊る。蓋が踊る。おそろしさに駆けてゆく、あなたわたし。

 ひたい。手は乗る。わたしの隙間に緑が謳歌する。わたしは照れる。産毛のなかにひそみ照れている・・・。

 ひとつの身体(からだ)。まぜ返された。ひとは各々のさわがしさのなかで手を合わした。たれか過ぎる。あなたの時間のないうち微笑みのなかを過ぐのだ・・・!

 ようけ暑さの洪水のなかにあなたの微停止する・・・。砂の花の上にひらたく乗る、わたしは汗になる、空の青はぼやける、、。

 見れば遥か彼方、それこそ坂の上に、あなたの一語が垂れて、転ぶ、転ぶ、転ぶ・・・。

 受け止めたわたしは、素顔なら、どこかへ放る。道から音(おと)の奪われる・・・、わたしは指を差す。

 脆く、笑みの隙間に惑いを置く、と、ものは静かに、しりぞき、しりぞきしていた・・・。

 彩りはわたしの名を知り、曖昧に光ってみせた・・・。