<1755>「薄膜のなかの人」

 あたしは知らぬ隙間に、身体を、

 投げてそこに分かれていた、

 そこから幾らも漏れ続けるだろうこと、、

 漏れて身体が次々に運ばれてゆく、

 そんなとこで生まれて、

 たれかささうべきか、どうか、、

 身体はひとりでに回転する、

 わたしわたしわたし、、

 あ、そうですこのまま、

 このまま順に、あたしが下る、

 さ、その身、、

 いくつ、いくつ、立ち上がるものか、見留めて、

 

 ひとり、またひとり、と順に、

 増えて、

 声を足す、声を足す、、

 自分の皮膚に自らの声が、こちらのと、あちらのと、

 二重になって、

 続く、続く、私は、

 私は、いくらかの願いがあってここの声をするのではなかった、

 まったく、隅々までオンジョウのなかで、

 見事に眠っていることが出来るだろうと思い、

 合唱する、

 あれやなにやと音、

 びりびりと震える空気のなかへ、

 すっかり覆われて、

 あれる、あれる、続く、

 続く私は、

 私は大合唱のなかで、

 このひとすじの薄膜を持つ、、

 私は、大合唱をたったこの薄膜で覆ってしまったんですよ、、

 と、静かな眠りのなかで思った、

 

 私は身をつける、

 振動のなかへ身をつけて次々に生まれる、

 人に、線を引き、

 模様をつけ、、

 触れがたいものとしてすでにここにあり、

 動いている、

 私は不明の呼吸のなかにいて、

 いつでも誰にでも、会うものと思っていた、

 そこで踊っているのは私だけだった、、

 私はもっと遅く踊る必要がある、、

 振動が当たるのに合わせて、

 もっと、もう少しのことだ、

 もう少しさわがしいもののなかで、、

 踊って渡す、

 それであの誰でも居るところへ、

 内へ、内へ、

 回転して帰るのだから、、

 手を使っていなさい、

 だらりとその表面を、覆わせていないと、

 晴れた日の隙間から鳴る、

 私を指して、またひとり、またひとり、音声に加わる、