思いますよ

<489>「ものから離れて」

明らかな固定の時間と、それを忘れる時間の、この距離を見せられて、意識はかなり離れた、高い場所を取らざるを得ない。それは偉いからだとか、中心だからだとかではなく、そのぐらいのポジションにあるのでなければ、意識が意識として機能するのが不可能だ…

<488>「おそれに潜る」

あるがままの驚異にさらされていればいいじゃないか。あるがままのその怖ろしさを、避けずにそこで受け止めていたらいいのじゃないか。この不親切な、感情に似合わない流れは、てんで私などを襲うつもりもない。 遠近感を失うこの暗い夜に、その他季節を連れ…

<486>「さわがしさとの断絶」

なんでもないような状態、平穏な状態というものの有難みが、もう少し確かな実感としてやってくるといいのだけど、という願いは別に正当なものであろうし、そんなに変な呟きだとも思われないが、しかし、なんでもないような状態は、なんでもないような状態と…

<485>「想定と現場と」

投げかけるとき、投げかける先のことを、曖昧にでもとりあえず想定しているものだが、想定したものと、対象の実情とでは、あまりにも違いが大き過ぎるので、申し訳程度に当惑してしまうというか、あらかじめ想定しておいたものは何だったのだろうかという気…

<483>「本当とは関係のない場所で」

これだけ用意されていても、全て嘘だから、一切反応しないでいると思う。ただ、反応しないことによって、身という身が硬くなっていくのだが、実はそれも嘘だから、さて私はどうしたらいいだろう、というのも、最初からどちらに動こうが嘘になるように仕組ま…

<480>「あるのだから」

分かってもらうって、一体何を? そんな具体的なもの、内容としてしっかりしたものがあるとは思えず、何だか訳の分からない淀みだけが、しかも全体として現れるのでもなくただ漂っているだけのように思われるから、これを、分かってもらったという場合、それ…

<466>「善悪ではない」

大して悪くもないが、当然良くもないという状態に置かれる。置かれるというより、そういうものが存在だと確認することは難しいことなのだろうか。いや、それ自体は別に難しいことでも何でもない。そんなに良くもないが悪くもない、そんなもんだということは…

<465>「零になる」

鋭さ、あるいは軽さをどうにかしようとして、この分かりにくい停止を甘受している。鈍たいがままの運動というものを、立ち上げた方がよいだろう、と考えるときの頭は、確かに軽さであるのだが、制限されているものがなんともなくなるとすると、制限している…

<464>「あの穴へ」

招かれざるものが、ほんの意識の遠のきを利用して、中空に浮いたその場所へと急ぐ。とっくにこの身体から離れたものたち(しかし、この身体から離れていったものたち)、そのなかで、点である私が今現在という名で動き回る。 点に映る光景は、全て今現在との…

<462>「悪の手触り」

悪の最大の魅力は、それが本当らしく感じられる点にあるのではないか。悪に触れている(あるいはどっぷり浸かっている)のと、全くそういうところとは関係なくのほほんと暮らしているのとでは、前者の方が、より本当に近い、より真相に近い、と何故か考えさ…

<461>「得体の知れないヒ」

そんな経験などなかったのじゃないかといって驚いているようだが、経験は身体に任せておけば大丈夫だったようだ。徐々に何かを開いていくイメージでいるのかもしれないが、さあ、どうかな? こればっかりは分からない、というより、何かを開いていくために進…

<459>「分けること、分けないこと」

何でもかでも分けていくのは愚かしい。だから、分けない、あれもこれも分けない。そして風景となり、風景として見、曖昧なバランス、揺れ、歩行を受け止める。それは難しいことではなく、少しく楽しいことではあるが、一方でどうして困難を感じるような気が…

<457>「どこから入ってきてもいい」

そのものが魅力的ならばそれでいいんだ。どこから入ってきたかなんて気にしやあしない。どうも、入ってきた先というのを探りたがり過ぎる。どこから入ってきたのか、確かに、その偶然がなければ、ここには入ってこなかったかもしれない。しかし、大事なのは…

<455>「読み方」

ザラ、ザラなぞっていけばいいものを、それが肝心であるところのものを、何故二番目に追いやってしまうのか。内容は、あるといいし、なくてもまあいいというもので、そちらの方が二番目なんだ。とにかくそこに動きがあってそれを感じるということがある。そ…

<454>「手の覇権」

余計な考えだ。何が余計な考えかというと、これだけたっぷりの時間があるのだからもっと余計なことを考えることに時間を割いたらいかがか?というその動きがだ。あなたは具体的に動くことを検討し、だる~んと境界移動を開始しながら具体的にこちらでも動け…

<450>「言葉と身体」

別に、皆が共通言語で通していたっていいじゃないか、それで何の問題もないじゃないか、という話には当然、同質化・多様性からの批判を向けるのだろうと、おそらく既に予想されているだろうから、それはいいとして、もうひとつ、言語は身体であるという方向…

<449>「同じ言葉を使うようになる」

昨日、共通言語について書いたが、世界には大体約7000もの言語があるらしい。それで、この数は減る一方であるそうだが、それではダメで、何がダメかというと、7000だったものが8000とか9000とかに増えていかずに、維持、あるいはジリジリと…

<448>「多様性と同質化」

物事には必ず良い面と悪い面がある。人は、頭でものを考えることが出来た。それが様々な発展をもたらしたことは間違いない。では、悪い面は? 非人道的、不道徳的な行動の元になることを考え出してしまうところにある? うん、それも間違いではないかもしれ…

<447>「執拗に揺れる」

解放されて、身体が軽く、喜んでいるときにも、諸々が塞がってどうしようもなくなっているときにも、さてこの解放された気分というものは一体何なのだろうかという疑問を持ったままでいるのだが、この離れた考えをどう心得るだろう。解放されているときに、…

<445>「根の不安」

外側から眺めれば、その紆余曲折も、激しい勢いも、ただ微笑ましさと驚嘆であるだけなのだから、特に気にする必要はないというか、限定だけで物事が考えられる必要もないのだ。ただ、この限定が全てであると、当事者は思っているというか、それが当事者であ…

<444>「歩むイメージ」

歩みに対して持つイメージを、どこかで漠然と間違えているのかもしれない。生にまつわるものがここで、再び入用になるはずもなく、ただ死んでいく者に成り代わっていくらかの表情を示すだけだ。 すっきりと、クリアな領域へストンと落ちる、それは、期待とは…

<443>「打ちのめされつづける」

打ちのめされるって言うの? 嘘みたーい。嘘じゃなくて本当なのだが、えー嘘うふふ。こうして実際に殴られでもしたような格好で倒れてみせないとダメなのかね。なに、そこまでは言わないんだね、そこまでは言わないんだね。全くどうも、打ちのめされて倒れた…

<441>「寂しくいてみる」

悲惨さに手を差し伸べる訳でもなく、かといって目を逸らす訳でもない。それで、自分の為すべき事を済ませたら、速やかにその場を立ち去ってしまう。何かが足りないような気がする、何かもうひとつあるんじゃないかと言いたくなるのだが、その一連を繰り返し…

<440>「くずれ、はしる」

同じ物として捉えられなくなったとき、悲鳴をあげているのはあちらか、あなたか。私はこの反復と循環のなかでのズレをどうすることも出来ない、全面的な変更を、どうすることも出来ないでいる。 ひとりの人間が走った。ともかくも、確認と変更を示すためにこ…

<439>「大錯覚をほどく」

大錯覚からの大歓迎の期間が長過ぎるので、反動というか失望も大きくなってしまう。あっ、こいつはそんな奴じゃない、とても皆でいいねいいねと言うような人間ではないぞ、というのは早く気づかれた方がいいのだがそれは分かるのだが、かといってわざと悪態…

<438>「遅刻が平気な状況へ」

一年に二百回ほどの遅刻をしてへいちゃらだった奴が、数年の内に二度遅刻をしただけであたふたしている。何ともおかしな話だが、遅刻をしたことによる不利益を、自分が被るか他人が被るかという観点から眺めれば、まあそこまで変なことではないのかもしれな…

<436>「平等というのは」

平等というのは、立派かあるいはそうでないかということを、呼吸が問うていないことを言う。お前は疲れたかそうかお前は疲れたか。そこで休んでいろ。もっとも、休めばまた休んだだけ疲れるのだがな、平等はそう言っている。 平等というのは、結論を定めても…

<434>「うろたえたい」

うろたえる動作を大事にしたい。 「なーになーに、そんなの全然平気。だって、おかしなことじゃないじゃない、当たり前のことじゃん!」 とまず言ってみて、態度も、その言葉についてこさせるという方針を取ってもいいのだが、それでは、いつまでも嘘の顔を…

<433>「何故なら私だって身体だから」

私だって身体なんだぞ。いいか、どうして言うことが先に決まっていましたと正直に言わない。浮き上がった言葉に、何の実感もありませんでしたと、何故正直に・・・。そうだ、スラスラと流れ出たろうな。聴いているんだか、感心しているんだか分からない景色…

<432>「要素がこぼれた真理」

要素をこぼすという話、何回も何回も書いてきたが、それは即ち何度も気になっているからということで、例えば、私とあなたがいる、それを「人」という共通項でとりあえずは括れる、括った中に入る要素だけで、とりあえず「人」についての結論はいくつか出せ…