<434>「うろたえたい」

 うろたえる動作を大事にしたい。

「なーになーに、そんなの全然平気。だって、おかしなことじゃないじゃない、当たり前のことじゃん!」

とまず言ってみて、態度も、その言葉についてこさせるという方針を取ってもいいのだが、それでは、いつまでも嘘の顔をしている私が映るのではないかという気がしている。その方向で嘘をつき通すことによって、次第に本当へと持っていく、という道筋がどうも見えてこない。

 大事なものは中身だが、表面の持つ影響力は大きく、表面に内面は揺すぶられ続けている。うろたえるなんてお前はどういう了見をしているのだ、という立場を取るのではなく、全然そんなことにうろたえるなんてことはないんだよ、という素振りで頑張るのでもなく、ただただうろたえ、驚かされ、脅かされ続ける、ぐらぐらな立場を維持するよう努める(ぐらぐらな立場を維持するてのはまた、変な表現だ)。そのままにしておくというのは意志か怠惰か。その両方だとすれば、それを何と呼ぼう(呼ばなくったって良いのさ)。