<464>「あの穴へ」

 招かれざるものが、ほんの意識の遠のきを利用して、中空に浮いたその場所へと急ぐ。とっくにこの身体から離れたものたち(しかし、この身体から離れていったものたち)、そのなかで、点である私が今現在という名で動き回る。

 点に映る光景は、全て今現在との関連を持つもののように思われた(が、突入したということを忘れてはならない)。私が考えているほどの関係は、もうないのかもしれない。充分に放り出された後の景色であれば、当然意味は不明瞭なものとなるだろう。そこへ、毎度々々訪れていくのが、ただの暇つぶし、好奇心でないとしたらば? 今現在を、その一点から、私の身体という一点から注入するというのは何だろう・・・。つまり、何かを暗示する場である、とする人がいる。しかし、むしろ放り出された景色に、暗示的なものを逐一注入しているのだと言わなければならない。中空、その全体は、暗示などには無関心でいるのではないか。