<457>「どこから入ってきてもいい」

 そのものが魅力的ならばそれでいいんだ。どこから入ってきたかなんて気にしやあしない。どうも、入ってきた先というのを探りたがり過ぎる。どこから入ってきたのか、確かに、その偶然がなければ、ここには入ってこなかったかもしれない。しかし、大事なのは、ともかく現にここに入ってきた、ということで、入ってきたものと私とが上手く合致したという事実だけが重要なんだ。

 おかげである、ということを気にさせたり気にしたり、そんなことは馬鹿げたことだ。そんなものは自発的に、リラックスした状態で出てこなければ意味のないもので、紹介したんだよなあ紹介したんだよ、という嫌な顔。この人に紹介してもらいました、と言わさなければ気が済まないとでも言いたげな嫌な顔。いつまでもそんな顔をしているようなら、紹介など早くやめてしまった方がいい。誰に紹介されていたってどこから入ってきていたってそんなことは本当にどうでもいいことだ。対象と人間とが、こんなにも見事に噛み合っているではないか! それ以外に何が必要なんだ?