思いますよ

<430>「こちらから動けること」

べーべらべら流れる音を聴きながら、こちらはこちらで勝手に動き出しているのが心地良いので、たとえば内容を隅から隅まで叩き込めたからといってそれで楽しみも最大になるかといえば微妙なところなのであるむしろ、そうすることで、そう緊張することで、楽…

<427>「ぬるぬるする筋肉」

私には想像もつかない、制御を振り切った顔が、そこにあっていればこそだ。楽をしているのだろうか、楽を。身体をひどく強張らせているが、それで一体どこへ動こうというのだ? 距離を取ることが一番の課題であることを確かめた(それは確かなのだろうか・・…

<426>「透明さと遊び」

消去法で、消極的に、おんなじ人間になろうとしている。いや、誰か特定の人ではなく、透明の人、どこにもはみ出すことのない、どこにも異常の見つからない、透明な人に、消去法で、消極的に、なっていく。では、反対に戻っていくのがいいのだろうか。とんで…

<425>「恥ずかしいあぶら」

なまなましいが、どうだ。私は恥じらった。自分が、なまなましくないことにか? まさか! いや・・・。どうも、なまなましさのない方へ、ない方へと行くのが頭の働きであるらしい。その無数の結果の中で、歩いている。 「なあんだ、随分と透明じゃあないか!…

<421>「安易は馬鹿にならない」

安易。さあ、安易なるもの、それは、私? 安易な本、安易な話、安易な関係性、 「安易だなあ」 と思いつつ、近づいて、手を伸ばす。思いのほか、影響を受け栄養を見て、馬鹿にならないものだなと思えば。 そう、安易は案外馬鹿にはならない。こういうものは…

<420>「書くというコミュニケーションの自由さ」

習慣的なものであるとか、常識、ある種の教育がなければ、そしてそこへきて、 「観客であっても別に自由に、退場したいときはしてもいい」 という空気が当たり前にあったとしたら、誰ひとりとして観客席に座り続けていることはないのではないか、というのは…

<419>「演目の長さ」

延々とではないにしても、ある程度の連続した、まとまった時間、観客であるということ、そういう役割を受け容れられるということには、ちょっと尋常ではないところがある。そこで展開されるものがマズイ訳ではない、ただ、もう30分もしないうちにその固定…

<418>「説明と身体」

苦しみ、日常些細事、不安、歓喜、通常の運動がいっしょくたになって、そのときどきで、色や形を変え続けているから、まともに目にすることをほぼ衝撃的に欲し、またあるときは直視を避けた。素直に覗かれるとき、そうだなあ、覗くなどという意識が排されて…

<416>「逡巡、淀み」

完璧に良くはあれないと認識するところまではいいのだ。だが、個人的な話にしても、周りを見渡したときの話にしても、そこから、逆に開き直っていることが多すぎるのだ。良くはあれないのならもう開き直ってしまおうというのは、その中身こそ違えど、ポジシ…

<415>「均衡と」

自らの有り様が、不問に付される立場には、決して立たねえ方が良いやな。その立場が悪い訳でもなし、そこに立ったからといって堕落が始まるとも到底思えんが、それはまさに有り様の問題、どうありたいかというところにだけ関係してくるってえもんさ。 どちら…

<414>「奥底的な快楽」

禁欲的な態度、生活実践に、固有の辛さ苦しさは確かにあるだろうが、そういうものに対して、 「偉いね」 と言っている人を見かけると、それは少し違うかもしれないぞ、と思ってしまう。 第一に、思うさま欲望を解放した後の、言いようのない虚しさを回避出来…

<413>「含めて全部」

どういったものなのかを把握したいという欲望の後ろに、しっかりと限定はついてきて、それは確かに仕事をするのだが、限定されたものとしての姿しかそこには現れないから、把握したいと願ったものそのものとはいかなくなっている。もちろん、そのものでない…

<410>「記述につきまとう正しさ」

「自分が正しいと思っている人」 を、批判しようとするのは別にいいのだが、自分が正しいとは思っていないつもりの人が、どれだけその正しいという考えから離れているかというと、実はそんなに離れていないのではないかという気がしてくる。語るそばから、記…

<408>「当たる角度だけで」

他人は、どこまでも自分を含んだものとして在るとはどういうことだろうか。自分で見ているというのはそういうことだが、おそらく、自分を含まないその他人というものを見てみたいと思えば、何もかもを完全に見失うことになるだろう。目を瞑ってみたところで…

<407>「切、変、」

10歳の頃の内部を、技術を、上手く思い出せない。おそらく同様に、10歳頃の自分が、自分というものを延長した先に、今現在頃の自分というものを正確に思い描こうとしたとしても、それは上手く行かずに失敗に終わったことだろう。同じ人物の時間的な隔た…

<406>「弁明と弁明」

もし悪人が、己の悪さ加減について弁明する機会を永遠に奪われるようなことになったとして、それは良心に責め苛まれている状態なんかよりも遥かにきつい状態に陥ったことを意味するだろう。自分が悪いという事実を、自慢風にであれ反省風にであれ、まるで語…

<405>「歩き方の達人」

遠路はるばるやって来て、寸前だというのにもかかわらず、あら違うと思ってぷいっと帰っちゃう(どこで見た話だったか、未だに見つけ出せていないが)、これは、フットワークの軽さ、動きの自在さというだけではないかもしれない。では、この境地には一体何…

<404>「俺が一番上手い、という据え方」

「俺が一番上手い」 と言った。それは、美学であるというよりほかなくて、というのも、それはどこまでも無用な追いこまれであるからだ。そんなことを言わずに謙虚に、また、謙虚とまではいかなくともただ普通にしていれば、余計なプレッシャーを、批難を、嘲…

<400>「年齢が貯まる」

渡すべき人がいるのならともかく、後に残すことになる子供も誰もいないのに、沢山のお金を貯め込んだままで死んでしまう、これは、おかしさの、嘲笑の対象とされたり、批難の対象とされたりもするが、事はそんなに簡単ではない。笑われたり怒られたりすれば…

<399>「死に方、死に際」

悲惨さを誤魔化すことで何事かを成立させようとするのは好ましくないという話に関連してくるのだが、医療、医学といったものの究極の理想は、 「人を、楽な状態へと持っていく」 というところへ置いておいた方がいいと思う。そんなことは当たり前のことじゃ…

<398>「知ったような口」

模倣が、無意識の模倣が、そうして口をついて出る。 「知ったような口を利いてらあ!」 ドワッハッハ! その大きな笑い声たちにびっくりしながら、奇妙に別の空間に落ち込んだような気持ちで、違う、という言葉ひとつを全身の感慨に寄り添わせる。それは、抗…

<397>「満足でも不満足でもない」

満足かどうかと考えれば、もう今の時点で充分に満足だという気がするし、まだまだ足りないのだろうかと考えれば、やはりまだまだ足りないのであって、例えばその足りなさは、仮に私に数百年数千年という年数が与えられたところで、決して満たされない類のも…

<396>「生きて、死ぬこと」

『独りで生きていく可能性の方に賭けろ、全生命を賭けろ、と言われたからそのようにしたら上手く行かなかった。騙された』 と言っている人を見かけると、ああ、可能性に賭けろと言った人たちの真意は、この人には何にも伝わらなかったのだな、と思ってしまう…

<394>「距離と幻想」

存在という存在が稀薄な世界で、あまりそちらばかりで遊んでいてはいけないよ、と言う。しかし、現実がまた、私にとって同じぐらいの稀薄さだったら。そことここに、差という程の差を見留められなかったのなら・・・。 先程までの運動は、もう自分のものでは…

<391>「出来事と色」

それがある前とあった後では、何もかもが違ってしまっているのだろうという出来事を想起してみる。尤も、それだけのものだから、こちらの意向など一切お構いなし、向こうのタイミングで、好きなときに突然頭の中に訪れてくるのだ、と言った方が正確かもしれ…

<388>「記憶のこと」

何かを憶えている、というのは微妙な問題だ。適当さと深さとが混在しているので、記憶力が良いか悪いかの基準を定めることが難しい。ごく限定的な条件を定めてしまえば、その条件内での結果はいまいちだが、他の領域においては抜群の記憶力を誇る人などを見…

<381>「さあ混ざる」

秩序と無秩序を各々で慰めて、バラバラに慰めていって、後合流させる、そんなことを考えているやもしれないが、それはどうも人工的なことで(当たり前だが)、一度バラしたものの合流後、秩序も無秩序もそこに程よく混ざって存在し・・・というのは、元の自…

<380>「記述と無」

記述行為は無限の優越感を生んでいて、それを防げるか。どこが高等なんだ、人間が?と言うとき、人間の枠から自分だけ外しているのではないか(お前は・・・)。だんだんに無へと向かっていくもの、何かではなくなり、終わりには完全に無になってしまうのが…

<378>「一点で動いていく」

進めないということで苦しむことはなく、どうあっても進むということに苦しさはある。調子が悪くても大丈夫だし、状況が不利でも、派手に追い込まれていても大丈夫だ。逃げ場がないというのは結局、私がどこまで行っても私であるということで、何ら取り上げ…

<377>「好みの根の深さ」

好みと、好みでないことがある、というのを忘れる訳ではないが、そういうものが入ると理屈が成り立たなくなるので意図的に外しておく。すると、好みか好みでないかというところに行き着いて、というより、そこにしか問題がなくなって、困るというほどでもな…