<2693>「どこからのその両の手だ」

 あたしはそこに声をついて、、

 なにから来る、

 ものがたくまれる、、

 ものがはこばれる、

 私はいくつもの印について、、

 からだを、そとへ、、

 しずかに放りながら、、

 長く、生まれて、、

 私は入る、、

 私はその、見えている景色のなかへ入る、、

 私はひらいている、、

 私は軽々と捨てられている、、

 

 おい、なにだ、、

 この巡りはなにだ、、

 からだから鳴るのか、

 どこを見ていた、、

 どこからおりてきた、、

 それぞれの映像を探して、、

 どこから来るのか、、

 私は運んでいた、、

 それぞれのリズムの、

 ただのはてにあるものとして、、

 私は運んだ、、

 私は先を見ていた、、

 ここに育っていること、

 ここに始まって、、

 ひとつも残らないこと、、

 あたしの色味であること、

 あたしの光景であること、、

 しずかな水の中に住み、

 またしばらく始まる、、

 あたしのなかではじまる、、

 それぞれに似た、

 それぞれに集まった表情、、

 どこから来た、

 どこからその手は集まってきた、

 おい、

 どこからの集合だ、、

 私が駆けて、、

 その夜の中で交代する、、

 隅々まで駆けて、

 なあ、おい、、

 ひとのからだが次々に漏れていく、、

 

 あたしは存在する悲しさを、

 申し訳ないという悲しさを、、

 どこへひたしていたらいいだろう、

 私は声をする、、

 しずかな重みを持って、、

 しずかな両の手でもって、

 あたしは異常な熱なのだろうか、、

 気味が悪いのだろうか、

 どこへ入るそのからだ、、

 あたしはちゃんと水に浮かぶか、、

 どうなのか・・・

<2692>「匂いが足りない」

 今はまだしらない、

 はだのなかが誰であるか、

 俗世が誰であるか、、

 私はひとつも知らない、、

 私はかげに紛れ、

 ただ、

 ここからあらわになる、、

 あなたはそこにいくつもの光を持ち、、

 まだしらないと、

 ひとつの音声を残す、、

 その揺れは、、

 僅かでありながら、ずっと、

 ずっと先まで残った、、

 

 そうだ、、

 私は何かを操作できれば良いが、

 と思っていた、、

 人間が随分と変更された、、

 私の声も、、

 私が思っているほど、

 いつまでも同じではない、、

 うん、なるほど、、

 不安の多い時間を、

 いくらも過ごしてきたことにより、、

 ここがどれだけ平穏であるか、

 掴めるようになる、、

 あなたはあなたの仕事をしていく、、

 私にはこれでは足りない、

 もっと、

 奥まで入る何かが、足りない、、

 足りない、

 私をこちらまで引っ張ってくる、、

 それぞれのなかに声をしながら、

 私は、引っ張ってくる、、

 これは糸の匂いだ、、

 これは回転するレバーの匂いだ、、

 私は潜る、、

 身体がしずかに生まれていたこと、、

 少しだけ踊ろう、、

 時刻の別の可能性を探ろう、、

 少しもはしゃぐのではなく、、

 一個々々として、流されていく、、

 

 ものが見える、、

 ものは揉まれている、、

 なにか、

 物音ひとつしない場面に、

 しずかに入ってしまったようだ、、

 これはどこからの声、、

 これはどこからの揉み方、、

 はずむ人へ、、

 はずむこのふくらみの人へ、、

 あなたを見せる、、

 あなたはひろがっている、、

 からだがすべて、、

 粒として立ち上がっていくように・・・

<2691>「体表の、なかへ住もうとする」

 しらない、混ざったの、、

 わたしの身体のなかなの、

 どう見ても、

 これは私にはそうだ、、

 私にはこんな時刻しか、、

 そして、速度、、

 あたしをどんどんと見つめて、、

 先へ、

 先へはいる、、

 ものの先へ、

 あたしが語り、ひらきながら、、

 ものの先はどこ、、

 どこから語り得る、

 身体のなかに入るのに、、

 あれは、熱なんだ、

 あれは、どこから、、

 

 私が次々にこの場を揉み込み、、

 ついには、

 全く知らない場所になる、

 いたずらに踏んでいく、

 踏んでいく、、

 身体が、地面が、

 盛り上がっていく、

 なおも踏んでいく、、

 踏んでいる、、

 あなたはその状況のなかに肌を見、

 肌で見、、

 はだかであり得るかどうか、、

 この体表のやわらかさ、

 あなたが次々にあらわれる、、

 このはてのとどこおりのなさ、

 あなたは住んでいる、、

 住んでいて、長く、、

 ものが長くなり、

 私はきこうとする、、

 私は、ずっと先まで、これをきこうとして、、

 すぐその中で、溢れる、、

 私が外に出たみたいだ、、

 浮かんでいる、

 掴んでいる、、

 あなたの表面の、

 しずかななめらかさ、、

 あたしは招んでいる、

 きちんと住んで、

 招んでいる、、

 

 ある当たり前の場所に、

 当たり前に日が射し、、

 あなたは回転して、

 また記憶とともにこのなかへ、、

 もう、

 流れるほどに生まれてきて、、

 私は手でそれを受け止める、

 手は黙る、、

 かたちのなかに来て、仕事をする・・・

<2690>「裂け目と夜の道」

 私は異様な人間である、、

 しかし、

 異様であるなどと、

 自身を形容することが恥ずかしいぐらいには、

 生活は当たり前である、、

 それで、

 私はどこにも異様なところなどないと、

 考えていたりして、

 どうしてもまた、

 普通の生活に隙間が覗くと、、

 一体これはどこまで裂けていて、

 どこまで繋がっているのか、

 少し、

 少し、本当におそろしくなる、、

 

 なにも、

 そんなにおそろしがらなくてもいいではないか、

 生活はこんなに当たり前だ、

 どこにも裂け目はない、、

 私は呼吸が楽である、、

 あらゆる行為が本当である、

 そうして洗濯機を開けて、

 その空間が、

 私、

 ひとりで誰もいない夜の道を、

 歩いていた記憶と繋がる、、

 私はここを歩いているとき、、

 確かな人間だと思った、、

 誰も見上げない、

 何も通らない線路の、

 信号機の、赤が、

 無際限に点いている、、

 私と、目が合う、、

 だが、、

 私は悲しいからそうするのではなく、、

 この場所が、

 生きていることに、

 ひどく関わりがあるのを確認していた、、

 

 ひとりで友好的に存在し得るということ、

 社会は愛憎を中心にしていた方がいいということ、

 そのどちらも、

 愛を知らない私でも、

 中で見事に両立し得るということ、

 しかし同じ身体なので、、

 それは少しの裂け目となり、、

 ある時ふっと、

 夜のひとりの道へ通ずるということ、、

 私は楽に息をしていた、、

 息を詰めていたことを知り、

 楽に、、

 ここが夜で、

 夜の姿がこれならば、、

 私は大丈夫だと思う、、

 その息を、

 大丈夫なものだと思う・・・

<2689>「あたしはなかだ」

 まだ、あたるままだ、、

 このジの、

 しずかなからだがさせてくれる、、

 ものだ、なかからだ、、

 私は、来ていた、、

 あとも、なにもなく、、

 あたしは来ていた、

 ここが、どの境界なのかもしらず、、

 なかへ、なかへ来た、、

 ものが増えて来た、

 あたしのなかへ姿を探す、、

 なかが、増えて来た、、

 ものが、

 あたしは溜まりを受ける、、

 あたしはものの溜まりを、、

 

 しずかなからだのなか、、

 しずかなからだのなかの水のなか、、

 あそこ、

 あそこははて、、

 はてまで潜る、、

 私はまだ管が透明だ、、

 種々の泡、、

 種々の音声のまどろみ、、

 なか、なかだ、、

 私はなかへ来てしまった、、

 そこに立つ、轟音、、

 あなたの息を呑む音が、

 ぎゅっと裏返り、、

 わたしの方、わたしの方へ、、

 姿を見せる、、

 からだがいくつもの光景に分かれる、、

 なあ、

 あなたは招んでいた、、

 あなたはおそれて、、

 からだはふるえていた、、

 あたしは、

 ひとりで水を飲みながら、、

 ここでとけてしまわないかしら、、

 部分が、全て、

 とけてしまわないかしら、と願う、、

 ひとりの、

 小さなうたいを、している、、

 

 あたしは、している、、

 あたしは、来ている、、

 どこからのぞかれ、、

 どこへ、からだをはくの、、

 なぜ、うれしそうなの、

 なぜ、ここはこんなに明るいのだろう、、

 ものが、、

 すべてに通じているのだろう、、

 なかへ、

 そっとなかへ揺れるのだろう、、

 ひとりで来た、

 ひとりで、地面に・・・

<2688>「底のなまの水へ着け、干すから」

 ただまだそこ、、

 ただはらのそこへ揃へ、

 あたまからなにから、

 動きからなにから、、

 ただもうもった水のそこへまっすぐに、

 あなたがた、着け、、

 着けば声のひらく、

 ものも どの水あの水などと問わず、

 なんでも、

 いくらでも入ってこい、、

 わたしはどうせそれら、

 ひとつひとつそれらを、、

 のみほすんだからな、

 

 訳の分からない回転、、

 ちょっともう水、

 あたしあたし含んでよ、、

 もっと軽い、

 もっと、滲み出したあとのあの、沈黙の流れ、、

 あたしが去る、、

 場はがらんとする、、

 響きをあたえるものは、、

 あたし、波するものは、どこ、

 場所はがらんどう、、

 あたしのいちいちのふるえ、、

 ここに音としても出でない、

 そのいちいちのふるえを、、

 あなたは、

 黙って確かめたのでした、、

 これはいくらも先、、

 だまってくらべられ、

 だまって合流し、、

 私は、からだを剥がし、

 それら、一緒に流し、、

 日にさらされ、

 あてられて、、

 ことばひとつないがらんどうの、

 さなかへ、、

 なまの水を干している、、

 

 あたまのなかのいくつかの線よ、、

 これ、確かめて、、

 いくついくつ回る、、

 あなた、

 この線から来る確かな振るえも、、

 いまつかまえて、、

 つかまえたらすぐに、手から離して、、

 うん、

 私はそうする、、

 きっと、

 私はそうするに違いがない、、

 あなたがこの場所で、

 いくらも回転しているのを、、

 うまく、確かめえたぞ、、

 ほら、流れ、

 流れてきたぞ・・・

<2687>「波になる、水になる、手の中になる」

 あたしはその水のありかを記憶していた、、

 ねえ、

 どこから漏るの、それ、、

 私にちょうだい、、

 私は少しずつ濡れていった、、

 私には表面があるのかしら、

 ねえ、

 どんどん含んでくれる、、

 知らない場所で、

 まっすぐにほうけている、、

 この私の姿です、、

 

 手のなかにも水はあるの、

 そうだよ、

 へえ、なんか、、

 少し押していたい、、

 まったくの容器なんだろうか、ね、

 あたしがあっちこっちに、ね、

 はっきり膨らんでるって、

 あなたはそういってこちらを見た、、

 どうなんだろう、、

 ここには底がないのかもしれないよ、

 いつもぶつかっていて、、

 いつもその隙間から何かが漏れてくる、

 それはあたしなのかもしれないね、

 どうだろう、、

 ちょっとたくさん喋る女の人がいて、

 私は、ほとんど空になって、、

 その音声を、通過させていました、、

 あなたはその熱を、一体どこから、、

 さて、

 私はこんなことに対してぼうっとしてしまう、、

 あたしは肉体なんだろうか、、

 いや、あちこちで、

 その都度盛り上がる、、

 ただの光の波のようなものです、、

 からだがさ、、

 ただ浮き上がっているだけだ、、

 もののなかに来い、来いと、、

 けしかけているだけだ、、

 

 あたしは無感でしょうか、

 それでいて、 

 どこまでも身体の部分々々が跳ねる、、

 あたしは何でしょうか、、

 あなたは削る、、

 このしずかな波のなかに来て、、

 いくつも、削る、、

 それは外になるのでしょうか、、

 いいえ、しかし、

 付き合い方が見つかる、、

 どこから来たのか分からないが、

 あなたは、

 ここをつかまえて、、

 ひとつひとつその汁を吸っていくのでしょうか、

 先へ、先へ・・・