<2692>「匂いが足りない」

 今はまだしらない、

 はだのなかが誰であるか、

 俗世が誰であるか、、

 私はひとつも知らない、、

 私はかげに紛れ、

 ただ、

 ここからあらわになる、、

 あなたはそこにいくつもの光を持ち、、

 まだしらないと、

 ひとつの音声を残す、、

 その揺れは、、

 僅かでありながら、ずっと、

 ずっと先まで残った、、

 

 そうだ、、

 私は何かを操作できれば良いが、

 と思っていた、、

 人間が随分と変更された、、

 私の声も、、

 私が思っているほど、

 いつまでも同じではない、、

 うん、なるほど、、

 不安の多い時間を、

 いくらも過ごしてきたことにより、、

 ここがどれだけ平穏であるか、

 掴めるようになる、、

 あなたはあなたの仕事をしていく、、

 私にはこれでは足りない、

 もっと、

 奥まで入る何かが、足りない、、

 足りない、

 私をこちらまで引っ張ってくる、、

 それぞれのなかに声をしながら、

 私は、引っ張ってくる、、

 これは糸の匂いだ、、

 これは回転するレバーの匂いだ、、

 私は潜る、、

 身体がしずかに生まれていたこと、、

 少しだけ踊ろう、、

 時刻の別の可能性を探ろう、、

 少しもはしゃぐのではなく、、

 一個々々として、流されていく、、

 

 ものが見える、、

 ものは揉まれている、、

 なにか、

 物音ひとつしない場面に、

 しずかに入ってしまったようだ、、

 これはどこからの声、、

 これはどこからの揉み方、、

 はずむ人へ、、

 はずむこのふくらみの人へ、、

 あなたを見せる、、

 あなたはひろがっている、、

 からだがすべて、、

 粒として立ち上がっていくように・・・