<2690>「裂け目と夜の道」

 私は異様な人間である、、

 しかし、

 異様であるなどと、

 自身を形容することが恥ずかしいぐらいには、

 生活は当たり前である、、

 それで、

 私はどこにも異様なところなどないと、

 考えていたりして、

 どうしてもまた、

 普通の生活に隙間が覗くと、、

 一体これはどこまで裂けていて、

 どこまで繋がっているのか、

 少し、

 少し、本当におそろしくなる、、

 

 なにも、

 そんなにおそろしがらなくてもいいではないか、

 生活はこんなに当たり前だ、

 どこにも裂け目はない、、

 私は呼吸が楽である、、

 あらゆる行為が本当である、

 そうして洗濯機を開けて、

 その空間が、

 私、

 ひとりで誰もいない夜の道を、

 歩いていた記憶と繋がる、、

 私はここを歩いているとき、、

 確かな人間だと思った、、

 誰も見上げない、

 何も通らない線路の、

 信号機の、赤が、

 無際限に点いている、、

 私と、目が合う、、

 だが、、

 私は悲しいからそうするのではなく、、

 この場所が、

 生きていることに、

 ひどく関わりがあるのを確認していた、、

 

 ひとりで友好的に存在し得るということ、

 社会は愛憎を中心にしていた方がいいということ、

 そのどちらも、

 愛を知らない私でも、

 中で見事に両立し得るということ、

 しかし同じ身体なので、、

 それは少しの裂け目となり、、

 ある時ふっと、

 夜のひとりの道へ通ずるということ、、

 私は楽に息をしていた、、

 息を詰めていたことを知り、

 楽に、、

 ここが夜で、

 夜の姿がこれならば、、

 私は大丈夫だと思う、、

 その息を、

 大丈夫なものだと思う・・・