太陽の外にあってひとりまどろんでいる男。
同じ日とはつゆ知らぬ男。
隙間に向け、手を動かしている。
手はお前の名前などは問わぬ。
かたくるしい行列が、
かたくるしい集合が、
いや、ただのかたい身体が。
手はいつも老人であり、子どもがはしゃぐのを見ている。
はしゃぐかわりに、ただかわいて気持ちよくなりぼうとしている。
ひとりで水を飲みなさい。
水を飲んでいるところを誰に見られてもいけない。
ひとりで飲みなさい。
長い時間をかけて、段々に白く、茶色くかわいていく男。
男は長い時間揺れている。
身体が消えないことに焦りながら。
時間は物語れないと思いながら。
男は在り、揺らいでいる。
いつなんどき経ても風景には至らなかった。
なにも重たくなかった。
男は白く、白い。
男は長く、長い。
日のことを見、どこかで忘れていた。
日のことを知り、どこかで忘れていた。
長い長い投擲の先に、一体何があるのでしょう。
勿論、次の投擲があります。
勿論、次の次の投擲があります。
投手の時、この延々続く運動のなかにいれる歓びを思う。
大体、繰り返せやしないことを、繰り返しのなかには置かない。
それ以上に面白いことがあれば、いや、面白いことがほかにあっても、やはりまた繰り返すのだろう。
もしかすると何か同じひとつの言葉だけが必要なのかもしれない。
もしかすると何か同じひとつの日が、
同じ日が、
繰り返しに値する日時が、
香りが、
言葉が、
段々同じ言葉しか発さなくなる老人が、かわいたままあたたかくなっているのかもしらない。
行いは行いを忘れるかも分からない。
時折 名は問われなくても良いのかも分からない。
男が長いと思ったものは勘違いだったのか、
考え違いだったのか、
ひそかに太陽の外に出て、
姿形を忘れたままに眠っている。