道は既に腕のなかにあり、
堂々と、
あるいは無関心に、
抱えているひとりの男があるけれども、、
なにか不安げな、
どう振舞ったらよいのか、という顔をして、、
私は歩いているけれども、、
歩いているけれども!
かたちが感じられて、、
ひとつ、抱えていて、
ある、途方もない不気味な表情をしたこの包みのほかに、
抱えてゆくものがないから、
男は誰も知らない顔をしていた、
あたしは倒すべき相手も持たないたたかいの姿をしていた、
それはある意味、、
長い時間無表情である、
長い時間ぼんやりとした夢の中のようであるが・・・、
時折胸倉を掴まれて、
きゅっと息が苦しくなるばかり、
まるでどこを見ていたらいいかも分からない、
過ぎる時間に対して、私はどこまでも遅れていくような気持ちになる。
どこまでも身体が自由を失ったような気持ちになる、
それで、ふっとその一連の、
何もかもから当たり前に還っていて、
なんだったんだ(なんだったんだろ・・・?)
と、
どこか片隅の方で思うくらいな、
平穏を、
平生を、
私は過ごしているけれども、
少し待っていたのか、
どうなのか、
男はひとりで抱え直すと、
また、誰も見たことがない表情へ、
誰も見たことがなく、
そこから、
誰も見たことがない表情へ変化してゆくので、
何が変わったのかもまるで分からない、
不安が完全に性分と一体となり、
物に変わってしまった、
それをまたひと抱えしていた、
わけだけれども、
私がなにか ここで声を掛けるんだろうか、
あなたとは別の景色でもお会いしましたね、
と、
なんのきなく、流れるように投げかけ、
身体をびりびりと震わせて出会うのだろうか、
一日という性質が、
なにか想像を絶するかたちを帯びるぞ、
と、
ひとりで僅かに思っていた、、