<1158>「同じ歌が青い匂いのなかに溶ける」

 何の感心があってそう溶けるのです?

 震えませんか、震えませんか、

 おそらくあなたは真顔だと思います、、

 何の感慨もないという顔をしていると思います。

 惑う目であらないと思います。

 

 生ぶ毛に始まり、風を割って、

 よくゆく、よくゆき、

 逸れて、逸れて、逸れて、

 ひらめき、流れ、

 歌い、歌い、

 よくゆき、流る、、

 身体、身体、身体、

 ひとりの花びら

 

 ほんのためらいもなくただに溶け出すのが華麗さでしょう。

 軽さでしょう。

 音の無さでしょう。

 あらわれて、まとわり、過ぎ、消え、また翻ります。

 時間は必要でしょうか、、風は、鐘は・・・

 あなたは指揮し、ばらばらにする、

 一日をくすぐり、記憶の外に出ます。

 違うのでしょうか。

 決して軽さでもて外に出でることはないのでしょうか。

 なにと、惑います。

 惑います。

 

 ひとつ落としふたつ落とし、身も、

 地も、音も離す気がないのなら、

 あたしとは一緒に来ないでください、

 あたしのことは記憶の外で見てください、、

 

 ああ、やけに青い匂いのする、、

 房も、

 重さのない海も、

 身も空も、

 あたまから順に流れ出してゆくようでもある。

 

 別の考え事が踊る朝も飛翔の軌跡によっては同じ朝で、

 同じ淀みで、

 同じ香りで、

 そうかそうかすみやかに、

 すみやかに浮かび無音でよくなる、

 華麗でよくなる、

 あのためらいのなさの上に揺られ寝そべる。

 糸もなく、浮かぶ水もなく、密閉された夢もなく、

 あらわれあらわれ、

 ひらき、ひらき、

 嘘と一隅と風を占め、

 あるときに止まる。

 記憶のない体、

 溶けた歌の流れ、、