ひとーー。ひとーー。
騒がしい。 蒸れる。蒸れる。
六月の青い雨、
蒸れる。
かく さなぎの中へ、
かく さなぎの中へ廻り、
蒸れる。
ひとーー。
長蛇の列。
青い青い列の中の瞳。
青い青い老人。
かぐわしくなったろう、身体。
わたしを結んでおくれ。
長い長い、あの、長い、逆上する煙で。
煙突で。
黙っていて。
誰にもさらされない口を先端に持っていて。
先端に立つ。
眩暈と人。
眩暈、遠い人。
踊る言葉を積む。
積載と無縁の人 男の人。
かぐわしさと無縁の人。
色事を飽きたまま眺めていよう。
六月の嘘みたいな青さ。
子らと埃とカーペット。
物音ひとつしない住まい。
からからnなってかぼそい。
どこから来た茶かも分からぬ匂いをさせている人に。
蒸れる。
湯が揺れている。
青い雨のなかに秘密の老人を容れて、揺れている。
あなたが文字に化けて出きたのかしら?
からからで、骨を揺らして。
まだ生まれたままで、途方もないままの六月に、ひとり煙をかむせつづく、人、人、人。
長蛇の列。
長蛇の老人。
長蛇の匂い。
乾期を誘う。
知らない、知らない、知らない。
一体何に対して誰のテンポで訪問するのか。
めない、めない。
黙想する雨。
六月の老人。
ぎこちない匂い。
どこへ運ばれてゆくのか、しかし、最後の姿は湯気であると思う。
先端は口だけ。
口から湯気だけ。