<960>「遺骨の夢」

 お葬式の在る風景を

 おひーさんがいつもより緩やかにゆく

 きゃらあ きゃらあ

 ぼだい ぼうだい ぼだいおん

 おんおん

 ま、さらさら

 あたしは遺骨

 ただの温度と隣り合い転がるのを眺めていた、

 煙とともに過ぐ、、

 うたぼだい

 はだしの車、

 窓の隅にひととき華やぐ、

 子どもらの歓声、、

 わたしには祖父も祖母もいた、

 あなたがこの、真昼間の、ただの喜びのなかへ染み通(とお)ってゆくだろうこと、、

 そのことにひとりで安堵する、

 過去たとえば大相撲は干し芋とともにあった、

 過去たとえば火曜サスペンスは柿の種とともにあった、、

 ハート型の器、

 あたしはプール教室へ通うのはもうよそうと考えている、

 (武蔵丸だ・・・)

 今度また西武球場へゆこうか、

 今度また中華料理屋へゆこうか、

 あたしはあたしの視点が徐々に増えてゆくことを、なんだかな、とした、

 あれだけ大きく息をついている、、

 今それに初めて気のつく、

 ただの煙、

 声の多さにむせこんでいる、、

 緩めた、、

 緩めた頬を、

 わたしの横へ、

 わたしも少し穏やかになったよ、

 わたしも少し、、

 窓の隅にひととき華やぐ、

 子らのただの歓声、

 巻かれたふたつはさわやか

 ぼだい ぼうだい ぼだいおん

 おんおん、

 おんおん、、

 ま、さらさら

 きゃらきゃらきゃら

 わずかにさわぎ出すものと、、

 ひとり、ふたり、

 みの静かに朱色へ混ざる、、