2017-09-01から1ヶ月間の記事一覧

<342>「無関心であること」

無関心であることは罪である、無関心が人を殺す・・・。なるほどそれは間違いではないのだろうし、そういうところも実際あるのだろう(ただ、全面的に合っているとは言えない)。では、翻って関心は人を殺さないかと言えば、殺すのである。しかも無関心と同…

<341>「乱れ走る」

ねえ、平坦ね。あまりにも平坦じゃない? どうしてそんな顔して怒るのかしら。優しさが急速に巡って酔ってしまうのね。関係ない? そう・・・関係ないのよ、アハハ。ねえ、もう一度取ること? いいえ、取らないわ。強引な逃走に跡も何も見ないつもりですもの…

<340>「染みのなかで響く声」

何だ、部屋の中をぐるぐるぐるぐる回って、制したい気持ちがまるで濃厚なケーキか何かのように全身を経巡ると、早く溶け出したいような様子で椅子に跨る。跨り続けて説明を必要とするのだ必要としたいのだが、私に解決する術は残されていない。悲しいかな優…

<339>「ただ待っていた」

どこへ訪れるか、何かを待っているような人がひとり。何だろう、停留所などの、待つに相応しい場所にいる訳でもなく、ただの道に、そりゃあ居てもいいのだが、誰かを何かを待つというのにはちょうどよく相応しくない場所にいる。待っているのではなく、止ま…

<338>「市街になりそこねた風」

街角になりそくねた風、その夕べ、にれーっとした道を見渡すと、あれ、感情満載の行進が、左へ寄り右へ寄り、飽きることなく両の手を・・・。目には甲乙つけ難い力。夢の先まで後戻りし、無警戒、堂々巡りの回転扉に優しい挨拶を託し、息せき切ってゆく。諸…

<337>「とらえられる」

真剣になるのは、なにも真面目くさっているからとは限らない。真剣にさせずにはおかない対象があり、真剣にならずにはいられない空気があり、そこに入るタイミングがありと、別に楽しい訳でもなく(本当か?)、苦しい訳でもなく(本当か?)、そこだけに視…

<336>「遊び」

遊び(遊戯から、余裕などのことまで含める)を取り戻すということにも当然興味があるのだが、遊びが失われていく過程、失われていくこと自体にも興味がある。ふざけているだけでは駄目かもしれないが、遊びがなければ物事は硬直してしまい、上手くいかなく…

<335>「点を増やす」

何かを学ぶとき、ひとつの本で済ませようとしてはダメだ、というのは、別に怠けているからだとか、ケチだからとかそういうことではなく、連関させないと物事はよく見えてこないということなのだ。あっ、ここで今見ているのは前にあっちで見たあのことか。あ…

<334>「不透明な空間の熱」

心地良さと心地悪さが速やかに入れ替わって渋滞を作らない。何かが通り過ぎた感触と、興味のなさそうな風が流れ、捉えられたものを放り出す。いつまでも立っていてもいいが、そこには何も、本当に何もない。仕方なく、心地良さの痕跡だけを辿ろうとするが、…

<333>「ずるさと無縁の場所」

偉いねえと言われる立場にいることにも、言われない立場にいることにも、同じだけのずるさがあって、それをお互いで承知しているから、立場の違った者同士で会ってもただヘラヘラし、ごまかし、お茶を濁すだけなのだが、どちらかの立場にいればずるくないと…

<332>「拍子抜ける」

賭博なんかに手を出して・・・破滅するぞ、と言うその気持ちも分からないではないが、というより、そう言うしかない部分もあるのだが、破滅を目指すから賭けに身を投じるのであって、そこへ来て破滅するぞという警告があっても何の音にもなっていない可能性…

<331>「ひとつの態度」

壊れていくものである、ということをどう捉えるのか。故に何かをすることを放棄するというのもひとつの態度であって、正解とか間違いとかではないが、壊れていくものである、それはそれとして別に何かをしていくというのもまた、ひとつの態度である。次への…

<330>「内外の言葉」

ああ、鈍さの接近。鈍くなるのに時を要しなかった。簡単だった。してやったりな訳でもないのだが、外側の言語に、異国の言葉ではないのだが外側の言語に囲まれ、流れ方もそのようだ。 私は話すことを失ったのだろうか(失ったのだろう)。そう、外側の言語で…

<329>「ひとつの出来ること」

あくまで私に出来ることはひとつであり、それ以外にはない。選択肢を奪われた訳ではないし、増やすことを放棄した訳でもない。つまりひとつで全部である。不足はない。 出来ることがいくつもあるように見える場合でも、それは表面的なことであり、根本的にひ…

<328>「帰路」

わらわらと集まってはわらわらわらわら泣き叫ぶことを繰り返し、変更の危険がないように言い聞かせたいがなるほどそうとばかりも決まらず、権限のない領域で天才的な緩みを見せてくれる。出場と決まったからには出てみない訳にもいかまい。いつか必ず太った…

<327>「そんな大きなことは私には分かりません」

途方もない大きさの出来事など、想像出来なくてもいいのだ。何か、想像出来ないこと、しようとしないことが悪いことのように言われることもあるが、そんなことはない。想像したところで、浮き上がってくるのは、想像を超えてしまっていてどうしようもないと…

<326>「流れ、食べる」

束の間、何も考えずに飛んでいるであろう者は、行く先を、方角をどのようにして決めるのだろうか。何となく流れで着いてしまう場所は、はて、私がここにいるはずがないという訳ではないけれども、どうしてここにいるのかしら? 約束事のように首を左右に捻り…

<325>「死んだように眠る」

休憩が必要だ。なに、10分も20分もあれば足りるだろう。車両の風に煽られ、放心した呼吸どのの重さは、想像に余りあるが、何しろもうこれで、座って電車をやり過ごすのは三度目なのだから。懐かしい想いや景色が緩やかに右巻きに漂い、漏れ、辿り、前進…

<324>「倦怠の隙間」

話合いは済んだ。尤も、話す前と後とで何の変化もなかったが、ともかくも済んだのだ。納得が行列を成していた。前と後ろに在る人が、私を挟んで何やら喋り出すのだが、ともかくも知っている情報しか交わされなかった。安心が行列を成している。不満そうに流…

<323>「側であることのいやさ」

側(がわ)に立つのが嫌なのかもしれない。しかし、側しかないのではないだろうか。それで、こうでもないし、ああでもないのだという言い方を採用していると、はて、私は何なのだろうということに、あるいは、どこなのだろうということになる。私は、どこな…

<322>「橙の反省」

大体において、色を回避する。最大限の譲歩として現れた、道は急げと言っている。雰囲気の叫び、雰囲気の倦怠、雰囲気の中に沈殿する不可解な太陽は、道を奪った行為のいちいちを恥じた。大体が、そんなに明るい時点で既におかしかったのだ。腹を抱えて笑っ…

<321>「謂れ無き高評価」

謂れ無い好評価に耐えられなかったのではないか。むろん、好評価自体は心地良いし、嬉しい。しかし、である。私が選択したのでなかったもの(選択できないもの)、運によったもの、環境がもたらしてくれたもの、努力と見えて実はたまたまであったもの、そう…

<320>「朝だ、朝だ、」

蓄積や、量というものを感じられない、あるいは感じにくいからこそ、毎日々々を送っていけるのかもしれない。朝、目が覚め、そして外の光景に出合う私は、ここまでの20数年の蓄積を感じてその場に立っているのではなく(感じてみようと思っても、そのよう…

<319>「同時的な悲哀」

同時的な悲哀を抱えて、別人は去る。夢の谷間の深い流れに身を任せる後ろ姿は、問答無用の寒さを告げている。緊張はない、後悔もない。早くも遠くへ流れ去る光景を前にして、ひとつくしゃみを混ぜてみるだけだ。 奪われた者たちは、奪われた者たちで集まるこ…

<318>「歪んだ眠気」

険悪な雲の周りを、能天気な光が照らしている。光には、暗い雲という存在のことが分からなかった。見る力がなかった訳ではない、本当に存在しなかったのだ。その目には、他の存在として映っていた。雲は、暗さを映さないその瞳を批難する訳にも行かず、この…

<317>「よぎる」

激しい裸体が眼前を掠める。それでいて、志望はまだない。涙やら何やら通行不可能なものたちを一望し、曇りがかった空を裏切る。内緒の中にまた内緒を見、食らい、暴き、乾き切る。 喉元を舐める視線は上下に動き、希望はまだない。疲れやら何やら見えないも…

<316>「何もない」

本当は何も感じていないのじゃないか。何も感じていないのに、何かを感じている振りをするのがマナーだろう?そういうことを感じると何だか疲れてしまうのだ。何だ、いつも疲れているな。精神的な疲れというのはあんまり気持ちが良くないから嫌だ。それで、…

<315>「あたふたする人の静かさについて」

その人の言い分はこうだ。 「何の備えもせず、それでいてそんなに平気そうにしているのはおかしい、どういうつもりなんだ、って? どういうつもりなのだろう。私だって、怖ろしくない訳はない。怖ろしくて仕方なくて、事が起きたら他の誰よりも一番あたふた…

<314>「椅子がある」

それを正しさだと思い込んでいたのは、相手の放つ腹立ち紛れの爆発の確かさ、その振動の強さの為だったと知り戸惑うし、腹立ち紛れにただ声を荒らげただけのことが、相手に正しさなのだと認識されていて戸惑う。実は何も分からない者であったのに、そんなに…

<313>「追われ、跳ね返し」

追い込まれることに何かの足りなさを感じる。追い込まれておいて足りないも何もないのかもしれないが、それは逃げ場が依然として見つかるから、という話とは少し違う。自分ひとり分の空間は決して失われない感じと言ったらいいだろうか。きゅーっと極端に押…