何かを学ぶとき、ひとつの本で済ませようとしてはダメだ、というのは、別に怠けているからだとか、ケチだからとかそういうことではなく、連関させないと物事はよく見えてこないということなのだ。あっ、ここで今見ているのは前にあっちで見たあのことか。あっ、そっちで見ていたことが、ここでいうところのあれなのか、というように、あちこちに新たな点が増えていってそれが繋がることによって物事の姿はよくよく見えてくるようになっているので、ひとつだけでその対象をよく見てやろうとしても、それでは対象の姿はぼんやりしたままだし、どこからどこまでが範囲内なのか、形がどのようであるかなどがよく分からないままということになる。バラバラの点を結んで何かを理解出来るということは、つまりそこに何がしかの中心があるということだが、中心の中に特別何かがある訳ではない。とっくに忘れていたと思った事柄が、他の同じような物事に触れることで突然記憶に甦ってきて驚いたりもするが、とにもかくにも点は多い方がいいと思うのである。分かるとは連関だ。