<333>「ずるさと無縁の場所」

 偉いねえと言われる立場にいることにも、言われない立場にいることにも、同じだけのずるさがあって、それをお互いで承知しているから、立場の違った者同士で会ってもただヘラヘラし、ごまかし、お茶を濁すだけなのだが、どちらかの立場にいればずるくないと思っている人がいる。ずるくないと思っているからこそ、その立場を択んでいる人がいる。そうすると、当然の如くずるいという責め方をしてくる。お互い様であるということが分からないと厄介だ。そうかい、あなたはずるくないのかい、結構なことだよ、ねえ・・・。ヘラヘラしないということは、ある意味コミュニケーションを取る用意があるということだ。ずるいと一言二言やらないと終わらない、それまではヘラヘラしないという姿勢か。どこの視点からものが語られているのだ。ずるさと無縁の地点を見たことがない。占めていると信じているその場所は本当にその場所そのものか。よく見ると、左右逆であったり、形は同じでも中身が違ったりしないか。玄関だけ同じ姿であれば、同じ家なのだという主張は面白い。聞いてなかったのだが。