<1021>「香のなかに言は這う」

 言(こと)を這ぅ 言(こと)を這ぅ

 たびにたぶらかされつつのち、ひらいで、わたす、染(し)む、わたす

 あれ咲くやな あれィ咲くやなそのとりどりの、、

 たとえば波、、

 その後景、イミッジまでも染(そ)みしてしまゥ、、

 おそらくは華やかさと、沈んだ真黒、いや、鈍重な青灰のなかに閉じこめらるるやうな、

 それも紛れもなくただあなたの声で、

 さいわいにその深さはいつまでも謎であらせられるるやうな、

 ふんィき、

 ただの吐息を漏らす、

 膨らんだその真白の、からりとした青の全景へいちどきに潜り滑ってゆく、、

 あわいでは桃の安らぐような匂いが立っていた、

 ひとひとりの発するやらかさがまるで全体を染(そ)みし、にこィやかにひろがっているともしよう、、

 あァはれィ、

 ふれてゆく、一切もまた乱れ乱れて、

 戸をやらかに剥(ハ)ぐ音(おと)のする、、

 するりするりと抜けゆく、、

 とんだ呆然のなかにあたしを招待(しょうだい)し、

 真白な独楽は回る、

 かたりかたかたりと静かに息を詰めて、見

 つむとも つむとも

 さあさあという音(ね)につられて軽やかな風のなかにいずともよ、