<668>「の・・・も・・・」

 他方人、空っぽの、空っぽの他方人は、誰かに怖い思いを、させていた

「の・・・」

 いちどでふるえ声。板から、顔だけ、にゅいと見る、あれは、私のなかの、疑い深さ、とどこおりがたさ、あくまでも眠らない、渡しがたさの波の話。一粒でも漏れて、しゅくしゅく溢れる、と、水の色や、かけらの匂いが、ふうふう言うて、なくならない息とともに、訳を話さず揺すりゆすり歩いている。

 飽きたらず、かたまり、また常に、ひと撫でのその、その分だけはわざとらしさを拓けるもの。

「このことごと騙し合い・・・」

明日にまで、憧れをひきのばすと、そこいらに、ひずみと、輝きが、緊張しながら寄り添うてくる、まだくる、どこへくる、語らいのなかの隙間へ染み込んでくる。

「では、あなたがこのごこころごと落とす言葉のなかに」

も・・・も・・・。