<397>「満足でも不満足でもない」

 満足かどうかと考えれば、もう今の時点で充分に満足だという気がするし、まだまだ足りないのだろうかと考えれば、やはりまだまだ足りないのであって、例えばその足りなさは、仮に私に数百年数千年という年数が与えられたところで、決して満たされない類のものだと感じる。だから、もう、満足ですかそれともまだまだ足りないのですか、などという、質問及び自問をやめてしまおう。満足ですあるいはまだまだですと答えたところで不十分だし、これぐらいの満足がある一方でこれぐらいの不満があって、両方あります、と言ってもまた何かが違う。ふたつが同時に存在する訳ではないのだから。満足だと考え出せばどこまでも満足であるように感じ、そうでないと考え出せばどこまでもそうでないように感じる、こんなものは、私のなかでは無いに等しいものなんだと考えていいのでは。満足か否かという問いでは、いまいち何も確かめられない。