何か頼んでいるのか、不思議な人だ。関心は関心でぶちこわれてゆく。返事をもらっても、特に反応しなくなっている。
「あれ、転がされるでもないと思いますか? あなたならどうです?」
訳、訳、この話を聞いてくれ。話していると方向がズレてズレてしょうがないのだが、何が何でも気怠そうなのだ。しかし、この通りでひとつも聞き漏らすまいとしている多数の人々が窮屈な思いからほどけていくのを感じると、ひとりで驚いてしまった。
「ねえもし、何を言いたいのかが分かるのですか?」
いや、いや、いや。あれ、どうも、なんだかこわい。こわいと思えて安心しているところがあり、ゆっくりと下がる。遅くなるといけないが、こちらだけしか見ていないように思えるのでいまいち固まってしまった。いけないいけない、多少力を込めて話さなければならない。